平成30年度全国高等学校総合体育大会 サッカー競技大会 1回戦 松本国際 vs 浦和南

平成30年度全国高校総体のサッカー競技が7日に三重県内で開幕。埼玉県第2代表として9年ぶり12度目のインターハイに臨んだ浦和南高校は松本国際高校(長野)にPK戦の末に勝利し、前回出場時以来となる「全国1勝」を飾った。浦和南は2回戦で東福岡高校と対戦する。


直前から降り始めた雷雨により、10時開始予定が3時間繰り下げられて13時にキックオフとなったこの試合。前半は勢いを持って前に出てくる相手に対し耐える展開となるが、ディフェンス陣を中心にしっかりと粘り強く対応して決定機は与えず。終盤に相手のサイドプレーヤーに抜け出しを許したが、ここはGK正野友稀が弾き出して、前半をスコアレスで折り返した。

すると相手の運動量が落ちた後半は時間の経過につれて浦和南が試合の主導権を握る展開に。13分にはゴール前でのラッシュから最後はオフサイドの判定となったもののFW佐藤智隆が惜しい場面を作ると、連続してセットプレーを獲得する中で18分にはショートコーナーからMF大坂悠力のクロスに181cmのDF相馬海音が打点の高いヘディングでゴールを狙っていく。

給水明けの後半29分にはDF狩集洸哉の素早いリスタートからMF窪田亮輔のクロスに大坂が飛び込むこれもゴールには至らず。その1分後にはFW丸山瑞貴が左サイドからドリブルで切れ込みながらキーパーを外したが、フィニッシュで精度を欠きシュートは枠を越えてしまう。

その後も最後のゴールだけが決まらず。後半35分にはカウンターから松本国際に抜け出しを狙われるが、前半も相手の決定的なチャンスを止めた正野が前に飛び出してゴールを死守した。

浦和南は後半終了直前に正野に変えてGK桒原丞を投入。そして勝負の行方は大会規定によりそのままPK戦に突入した。先行の松本国際が外し、浦和南が決めた後の2巡目。自身から見て右側にヤマを張っていたという桒原が見事なシュートストップを見せると、浦和南はその後の3人がきちっと決めて勝負あり。4ー2でPK戦を制した浦和南が2回戦進出を果たした。

「前半を0で抑えれば後半向こうは落ちると思っていたのでプラン通り進んでいたんですけど、点が取れなかったですね」と野崎正治監督。後半は相手の倍の8本のシュートを放ちながら取りきれなかったことは課題とした一方で、守備については「よく守った」と評価した。

2回戦の相手は高校最高峰プレミアリーグに所属する東福岡高校(福岡)に決まった。母校を久しぶりの全国での1勝に導いた名将は「やっぱり高校生は難しい。何回出してもその都度その都度またメンバーも違うからね。本当に乗らせるというか、そこまでいかせるのはなかなか難しいですね」としながら、「どのくらい通用するか楽しみ」と2回戦の戦いに期待した。

互いに高め合う2人の守護神

浦和南の守護神を争う正野と桒原は互いが互いを高め合えるまさに好敵手のような存在だ。

この日は正野がスタメンで出場。背番号17は前後半のアディショナルタイムに相手の決定機を防ぐ好守を披露。するとPK戦では今度は再びの先発奪取を狙う桒原が「キーパーが2本止めるから」という指揮官からの期待に応えるPKストップでチームを勝利に導く活躍を見せた。

4月の浦和カップ決勝・矢板中央高校戦では同じような状況で桒原がスタメン、正野がPKにまわり優勝に貢献した。総体予選以降は正野が第1GKに座るが、桒原は「出られなくても自分が成長できるようにと思ってやってきた。PKも前よりは駆け引きだったり、PKのキーパーっぽくはなっていると思います」。2本目のストップはまさにその駆け引きを制した形だ。

反応速度に優れる正野とシュートに対する準備や努力では負けたくないという桒原。まったく違う特長を持つ2人。互いにない部分を持っているからこそ「負けたくない」気持ちは強い。

「自分が出てチームを勝たせたいという思いはお互いにありますし、その気持ちがより強いほうが最後に出ると思うので、そこは競争をしっかり勝ち抜いてチームのゴールを自分が守れるようにやっていきたい」と正野が言えば、「全国大会に出るイメージをずっと持ってきている。出る可能性があると信じて過ごして、出たらそのイメージ通りにやれればいい」と桒原。

野崎監督も「良い意味で高いレベルで競い合っている。明日どっちを使うかも悩むところ」と頭を悩ませる浦和南が誇る2人の守護神。2回戦の相手は強豪・東福岡。正野は「自分たちにもチャンスはくると思っている。守備もチームで1ヶ月近くやってきたので、自信を持って最後のところでしっかりゴールを決めさせないというのもディフェンスと協力してやって、PKでもなんでもとりあえず最後に自分たちが勝ちたいと思います」と意気込み。桒原は相手の元U-16日本代表候補でJ注目のGK松田亮から主役を奪うことを熱望しつつ、全力プレーを誓った。

石黒登(取材・文)

試合結果

松本国際 0(2PK4)0 浦和南

0(前半)0
0(後半)0
2(PK)4