[選手権]武南が宿敵 西武台撃破で準決勝へ!エース有川が後半AT弾&無失点勝利で新人戦のリベンジ果たす

武南が新人大会のリベンジを果たし、2大会ぶりのベスト4入り。第104回全国高校サッカー選手権埼玉県予選準々決勝2日目が2日に浦和駒場スタジアムで行われ、武南が10番MF有川達琉(3年)の後半AT弾で1-0で西武台に勝利。武南は9日の準決勝で細田学園と対戦する。

両雄は今年2月の新人大会決勝でも激突。武南がMF渡辺悠(2年)のゴールで先制したが、西武台はMF広瀬陸とFW太田和希(ともに3年)が2点ずつ奪うなど、5-1で勝利していた。

武南はショートパスやサイドチェンジなどを交えながら有川やMF小山一絆(2年)が推進力のあるドリブルで前進。前半3分には有川が持ち出し、渡辺がファーストシュートを狙っていく。

一方、西武台は初戦となった3回戦の市立浦和戦からメンバーを2枚変更。FW青木彬朗(3年)、MF小西瑛旬(2年)が大会初出場となった。2列目は左からMF栗田駿弥(3年)、小西、MF野網凜生(2年)、MF藤崎瑛尚(2年)の構成で、1トップに青木が入る布陣でスタートした。

立ち上がりは武南の押し込みを許したが、徐々にペースを取り戻し、中盤以降はゴールに迫る場面を増やしていく。18分には小西が前線からの守備で敵陣中央右でボールをカット。栗田がボールを運び、ラストパスを青木が狙ったが、この場面は武南GK金昶銖(2年)がセーブした。

西武台は後半頭からMF杉山幸一郎(3年)を、11分には今大会10番を背負う技巧派MFの広瀬、エースFWの太田を投入し、出力を上げていく。4分、DF鈴木煌平(3年)のスローインから青木が相手DFを背負いながら鋭く反転してシュート。6分には青木が身体の強さを見せて右サイドを突破。クロスのこぼれ球に対し、杉山が狙ったシュートが惜しくも右に外れる。

武南も14分、右MF関口海龍(3年)のクロスから、2戦連続のスタメン起用となったFW藤森隼叶(3年)がヘディングシュート。さらに16分には藤森の左クロスから有川が右足ジャンピングボレーで迫る。25分には関口に代えて“ジョーカー”のMF鞭馬小太朗(2年)を切った。

西武台は29分、プリンス関東2部で得点を重ねる太田が左サイドからカットインして決定的なシュート。しかし、これはわずかに右に外れてしまう。武南も33分、DF田村大地(3年)の縦パスを藤森が落とし、小山が得意のキックで左サイドの渡辺に展開。カットインシュートは相手DFに当たりゴールには繋がらなかったが、意図した攻撃でフィニッシュまで持って行った。

武南は37分、藤森に代えてFW安藤大翔(3年)を投入する。時計の針は40分を経過し、延長戦突入かと思われた中でついに均衡が破れる。40+1分、右サイドからの攻撃で鞭馬のパスを安藤がヒールで落とすと、エース有川が右足の技ありのシュートをゴールネットに突き刺した。

点を取るしかない西武台はFW川口陽誠(3年)を投入。終盤は西武台がシンプルにゴール前にボールを上げて迫力のある攻撃を見せたが、武南もDF滝沢大輔(3年)を入れて守りを固めてきた中で最後までゴールネットを揺らすことはできなかった。そのまま1-0で勝利した武南が拮抗したゲームを制し、新人戦のリベンジを果たす形で2大会ぶりの準決勝進出を決めた。

内野慎一郎監督も「久々に痺れましたね」という勝利。今季はS1リーグでも無失点は前期の西武台Ⅱ戦のみ(3-0)と「いつも「1」っていうのに泣かされてきた」中で西武台戦の前の1週間は守備に特化してトレーニング。新人戦では5点を取られ、プリンス関東2部でも最多「33」得点を重ねる西武台の強力アタッカー陣に対し、しっかりと対策しながら0で抑えきった。

攻撃面でも「後ろ後ろに行かないで、斜めのパスが通せたこと、前に有効的なボールが入ったこと、前を向けてボールをもらえるような態勢を作れたこと。ここで自分たちの強みだったり、ドリブルだったり、パスっていうのが有効的に生きてきたのかなっていうところはあった」と話し、「今日はいままでの経験がいろいろな場面で出せたゲームだった」と劇的勝利を振り返った。

一方で「ただ、全然まだ準々決勝なので」(監督)。重要な一戦だったのは間違いないが、目指すべきステージはまだここではない。決勝ゴールの有川も「去年の聖望も昌平に勝った後に負けた。多分次が一番難しい試合になると思う。ちょっと緩んじゃうかもしれないけど、チームとしてそこは(平野)琉斗とか俺を中心に気を引き締めたいと思います」と話した。西武台撃破を自信に変えながらも決して慢心はせず、準決勝の細田学園戦も集中して臨み、武南のサッカーで14年ぶりの決勝進出、そしてオールドファンも待ち焦がれる19年ぶりの選手権出場まで突き進む。

石黒登(取材・文)

試合結果

武南 1-0 西武台
0(前半)0
1(後半)0