[選手権]OB樋口が横浜FM内定。埼玉栄は「主導権」を握り続け、狭山ヶ丘とのS2対決制す!激戦ブロックも歓迎

12日、第104回全国高校サッカー選手権埼玉県予選1回戦が行われ、埼玉栄と狭山ヶ丘が対戦。S2勢同士の好カードは埼玉栄がFW伊藤潤(3年)の得点で1-0で勝ち、2回戦に進出した。

両チームは今季同じS2リーグに所属。今大会前の時点で狭山ヶ丘が勝ち点「32」で首位、埼玉栄が同「30」で3位と、昇格を争うライバルでもある。前期は埼玉栄が2-1で勝利していた。

狭山ヶ丘は立ち上がり、トップ下の髙木玲(3年)が中間ポジションを取りながら武器のサイドからアタック。5分には右MF中山琥太郎(3年)が抜け出してクロスからゴールに迫った。

埼玉栄は序盤こそ、相手の圧力を受ける部分もあったが、縦に速いサッカーを展開してくる狭山ヶ丘に対し、合わせずに「テンポ良くボールを動かす」ことを徹底しながら徐々に主導権を握る。

特に滝井友和監督は「ボランチがよく成長してきたのかなと。前期のリーグ戦とか関東予選、インターハイ予選では、ボールを受けるっていうよりはサイド、サイドに預けて終わっていたんですけど、怖がらずに中、中に入れられるようになって、そこはトレーニングでやっていることを意識してできたのかなと思います」と石田匠、清水結太(ともに3年)のダブルボランチを評価。特に清水はプレッシャーのある中でも積極的にボールを受けてチームにリズムを作っていた。

後半4分にはMF西嶋心汰(3年)のポストプレーから左MF片桐盛(3年)が右足ダイレクトで決定的なシュート。これは狭山ヶ丘GK有澤大心(3年)のビッグセーブに遭ったが、後半もボールを握りながら優勢にゲームを進めると、飲水明けの23分についに試合の均衡が崩れる。

埼玉栄は中盤でボールを拾ったMF田向琉偉(3年)が左サイドに展開すると、片桐のクロスに「クロスの入りとかは練習から要求していた。盛が良いボールを上げられるっていうのはわかっているのでそこを信じて」エース伊藤が右足ダイレクトで合わせてゴールネットを揺らした。

埼玉栄はその後も伊藤や石田がミドルシュートで追加点を狙う。狭山ヶ丘は43分、MF加園拓斗(3年)が抜け出し、終了間際の46分にはFKから髙木がヘディングでゴールを狙ったが、決めきることができなかった。注目のS2勢対決は埼玉栄が1-0で制し、2回戦に進出した。

滝井監督は「前半主導権を握れるゲームができて、後半良い形でゴールが入ったのは良かった」「ボランチがよくゲームをコントロールしてたっていうのは間違いなくその1つ」と評価する。

「戦い方としてはうちはやっぱり主導権を握りたい、ポゼッションをしたいと言っているけど、これが本当に完璧かといったら完璧じゃないし、もっと質を上げていかないと今後あの子たちが大学やその先でサッカーをするってなった時にまだまだ足りないところなのかなと思います」。

今月1日にはOBのMF樋口有斗(現・中部大3年)の2026シーズン横浜F・マリノス内定が発表された。樋口は中学、高校と滝井監督のもとでプレー。「そこを求めていけば樋口みたいな選手が自分は生まれるんじゃないかと思っています」。今年のチームにも伊藤や片桐など、そんな可能性を秘めた選手も。「この結果がすべてじゃないけど、あの子たちにとってはやっぱり最後のこの大会に向けてずっとやってきたことなので、1つ目標に向かってそういったことをもっともっと追求していかなきゃいけないのかなっていうのは今年4年目で感じたこと」と話す。

初戦の狭山ヶ丘に続き、2回戦はS1の武蔵越生とのカード。また、勝ち上がっていけばS1の成徳深谷、聖望学園、プレミアの昌平と当たる可能性があるなど、厳しいブロックに入ったのは確か。だが、「チームとしてはプラスに捉えていて、初戦から「絶対にやってやるぞ!」という気持ちでやれた」と伊藤が言うようにチームはこの状況をむしろ歓迎する。右足首腓骨の骨折による長期離脱から復帰したDF櫻井悠琉(3年)主将は「しっかり一戦一戦集中して、次はS1の武蔵越生ですけど、自分たちはチャレンジャーとして上を目指してやっていきたい」とした。

石黒登(取材・文)

試合結果

狭山ヶ丘 1-0 埼玉栄
0(前半)0
0(後半)1