[新人戦]西武台が昨年の決着をつけ2連覇!4試合25得点、12人がゴールと“日替わり主役”でまずは一冠
自慢の攻撃が爆発し西武台が連覇!令和6年度埼玉県高校サッカー新人大会の決勝が16日に埼玉スタジアム第3Gで行われ、西武台が5-1で武南に勝利。2年連続8度目の栄冠に輝いた。
両雄は昨年もファイナルで激突。その際は2-2のまま決着がつかず、両校優勝の形となった。
西武台は準々決勝、準決勝と同じスタメンに。この日も3戦5発のFW太田和希(2年)にボールを集めながらアタックを展開する。一方、3連覇を狙う武南はFW安藤大翔(2年)がトップ下で初先発。両サイドは右に期待の1年生MF渡辺悠、左MFに関口海龍(2年)が入った。
開始からテンポの速い展開となった中で先に試合を動かしたのは武南だった。前半12分、MF小山一絆(1年)のFKにニアサイドに入った渡辺が右足で触り、2試合連続の先制弾を奪った。
先制を許した西武台だったが、技巧派の7番のワンプレーが試合のムードを大きく変える。22分、ゴール前でFKを獲得すると、MF広瀬陸(2年)は練習していたというブレ球のキックをゴール右上隅に突き刺しゲット。関根雄太監督も「広瀬の1点がちょっと多分衝撃というか、向こうへのダメージがでかかったんじゃないかなと思います」というゴールで同点に追いついた。
これで一気に火のついた西武台は29分に広瀬のクロスからMF吉田圭佑(2年)が決定機、35分にも広瀬を起点にMF杉山幸一郎(2年)のクロスから太田のヘディングがクロスバーを強襲する。すると37分、杉山の右クロスに太田がニアサイドに走り込んで合わせ逆転に成功した。
武南は41分、安藤の直接FKがわずかに落ちきらず。1点ビハインドの後半、準々決勝の聖望学園戦の接触で準決勝は大事を取って出場しなかった10番のMF有川達琉(2年)、初戦から3戦連続で途中出場からゴールに絡む好調のアタッカー、MF八百川尚輝(2年)を投入する。
しかし、次の1点を奪ったのも西武台だった。6分、中盤でボールを持った広瀬が個の技術で相手を剥がし前線へスルーパス。これに抜け出したゴールゲッターの太田がきっちりと仕留めた。
武南は7分にMF田中理月(2年)が果敢なミドルで迫り、11分には渡辺がエリアで切り返してシュートを狙ったが、決めきることができない。16分に小山が、34分にはクロスから有川が決定機を迎えたが、いずれのシーンも西武台GK石田永遠(2年)が門番として立ち塞がった。
西武台は後半途中出場のFW青木彬朗(2年)が前線で強さを発揮。37分には太田のクロスからヘディングで迫る。39分には広瀬が得意のドリブルで狭いエリアを切り裂き、左足のシュートでゲットすると、終了間際の40+4分には広瀬がドリブルで切り込みながら敵を引きつけてスルーパス。これを終盤に投入されたFW今野翔(2年)がしっかりと決めてダメを押した。
前述のように昨年は両校優勝だったこともあり、1年ぶりの決着。関根監督は「今年はしっかりみんなで勝ちきろうと昨日、キャプテンの高倉(大翔)も言っていたので、そういった意味では5-1っていうよりも、勝って終われたのが良かったかなというふうには思っています」と話す。
また、今大会は令和6年度の最後の公式戦という位置づけだったこともあり、「総監督の守屋(保)の方からも「今年1年でやってきたものを最後しっかりと出そう」ということでそういった部分がたくさん出たかなと思います」とした。今大会から守屋監督が総監督となり、関根監督体制に。指揮官としての初タイトルには「嬉しいっていうよりも、ホッとしてる感じです」とはにかんだ。
「もともと1年のときから、攻撃的なところはかなり彼らは好きだったので」(監督)というチームは今大会4試合で25得点を量産。1回戦の狭山ヶ丘戦では高倉大翔主将、田谷巧翔(ともに2年)のCBコンビを含むディフェンスラインの4枚全員がゴール。大会全体を通じても12人がゴールを記録するなど、毎試合主役を変えながら、どこからでも取れるというのを証明した。
関根監督は「最終的に選手権を狙えて、インターハイも狙えて、プリンスリーグが終わるときに昇格に関われる位置に持っていくために、まず一節のところからやっていきたい」とし、今大会4試合すべてで得点を決め、7ゴールでチーム得点王となった太田は「全試合で得点を取れて良かったと思うし…。けど、やっぱりここからまだスタートだと思うので、プリンスリーグもインハイも選手権も、全部取って繋げていきたいと思います」。このタイトルはあくまでも第一歩だ。
今年は昨年、セカンドチームでS2リーグ制覇を達成したメンバーが多い中で、そのベースを生かしてまずは一冠。今後はそこに上積みしていく形で、昨年苦しんだプリンス関東2部でも勝ちきれるチームを作り、そしてインターハイ、選手権で全国にチャレンジできる集団に成長する。
石黒登(取材・文)
試合結果
西武台 5-1 武南
2(前半)1
3(後半)0