[選手権]8年ぶりの冬の全国は志半ばの32強敗退も、正智深谷はプレミア東福岡に善戦

第103回全国高校サッカー選手権大会の2回戦が12月31日に浦和駒場スタジアムほかで行われ、正智深谷は東福岡(福岡)と激突。スコアレスで迎えた後半に2点を失い、0-2で敗れた。

8年ぶりの冬の全国は志半ばのベスト32で敗退。その中でも正智深谷はプレミアWEST所属で大会優勝3度を誇る強豪校に最後押し切られたが、善戦。勝利の可能性も十分に感じさせた。

小島時和監督も「プレミア所属の強豪校相手にどんな戦いになるかっていう楽しみの中でスタートしたんですけども、しっかりプレスもできていたし、得意のディフェンスもしっかりできたし、十分戦えたなっていうゲーム。負けたのは残念なんですけど、思い切りやってくれて、8年ぶりの選手権を十分に戦ってくれたと思いますし、選手たちは良くやったと思います」と称えた。

「正智としての堅守を築くために、全員が身体を張って頑張るっていうところを意識しました」(大和田)。出足の速い守備から、中盤ではMF大和田悠主将、MF吉田匠吾(ともに3年)が運動量を見せ、最終ラインではDF佐藤飛友、DF岸田永遠(ともに3年)がしっかりと対応。また、初戦2アシストの左SB鹿倉颯太(3年)もキーだったサイドの局面で穴を空けなかった。

攻撃面では15分過ぎ、2戦連続のスタメンとなったMF白岩龍(3年)を右SHからFWにスライド。17分には自陣での回収から大和田のスルーパスに抜け出しを図る。ゴールまで迫る場面は少なかったが、その中でも1回戦の長崎総合科学大附(長崎)戦で決勝弾を決めた10番の近藤七音(3年)が29分、自信を深める右足ミドルシュートでゴールに迫るシーンもあった。

後半頭からはMF赤川空音(3年)を投入。すると俊足アタッカーは開始30秒、仕掛けからの右足シュートでいきなり決定機を作る。長崎総科大附戦もハーフタイム明けから攻撃のギアを一段階入れ替えて勝利した正智深谷は10分にもダイレクトプレーから赤川のクロスでチャンスを作り、16分には吉田が中盤で奪い取り、MF小西聖七(3年)が抜け出しシュートを狙った。

しかし、時間の経過とともにディフェンスとボランチの間が間延び。全国での経験値も抱負な相手にそこのスペースを使われ始めると、18分にゴール前での連続した横パスからマークをずらされ、失点。正智深谷はメンバーチェンジを図りながら、なんとか立て直しをしようと試みたが、焦りから自分たちの思うようなプレーができず。40+4分には追加点を喫し、0-2で破れた。

「ゴール前の選手たちの落ち着きとか、それからパスの正確性とか、判断、そういうところがやっぱり余裕がなかったですね。一生懸命、一生懸命守って、攻めていくんだけど、そこまでちょっと余裕がなかった。もう少しフリーができて、余裕を持って攻めると、うちらしさが出たんじゃないかなと思うのと、それから得意のコーナーキックがなかなかもらえなかった」(監督)

守備で奮闘する一方で、攻撃でもリズムを持って攻め込むところもあった中であと一歩パワーが出し切れず。チームの得点源となっていた鹿倉のコーナーキックも相手の警戒に遭う中でこの日は前半、後半で1本ずつだった。指揮官は「全国大会なので、自由にやらせてもらえないのはある。またその辺はひとつ成長して帰ってこないと厳しいなと思いました」と課題を語った。

8年ぶりの冬の全国は志半ばで終幕。もちろん悔しさもあるが、選手たちにはどこかすがすがしさもあった。主将の大和田は「8年ぶりの全国で、コーチたちのアドバイスをもらいながら全国の舞台はどういうものなのか、想像しながらやってきて、まずは初戦で1勝することは難しいことだよと言われていた中で、そこをみんなで乗り越えて、2回戦も東福岡はプレミアリーグ所属ですけど、そこにもビビらず、全員でやりきれたので良かったかなと思います」と胸を張った。

FW坂井直人、DF長南結人(ともに2年)、DF岸田琉来(1年)と3人の下級生がこの舞台を経験。来年は彼らが中心となって先輩たちが果たせなかった32強のその先を目指す。坂井は「3年生にはかわいがってもらった。3年生の悔しい想いも、自分が来年引っ張って、来年これを越えられるように頑張りたい。攻撃は自分が中心になってやっていきたい」と意気込みを語った。

石黒登(取材・文)

試合結果

東福岡 2-0 正智深谷
0(前半)0
2(後半)0