[中学]聖望学園中、南浦和中に4発で新人戦連覇! より「たくましく戦い続ける」集団に成長して学総との2冠を目指す

初優勝だった昨年に続き、聖望学園中がうまさと強さを見せて連覇達成! 令和6年度新人体育大会決勝が17日に埼玉スタジアムで行われ、聖望学園中とさいたま南浦和中が激突。史上初の2年連続同カードとなったファイナルは4-0で聖望学園中が勝利し、大会2連覇を飾った。

聖望学園中は10番FW嶋田圭吾(2年)の仕掛けで獲得した左CKから前半5分、FW梅木結都(2年)のキックをDF飯塚圭祐(2年)がニアサイドでヘディングで突き刺し、先制した。

181cmとチーム一の長身を誇る飯塚は、準々決勝のさいたま大谷場中戦でもコーナーキックから頭でゴールを決めており、今大会セットプレーから3得点。「自分の身長の高さを生かして、やっぱりゴールを決められたことがとても嬉しかったです」とこの日も大事な先制点を奪った。

その後も聖望学園は押し込んで進めながら、昨年もこの舞台を経験しているエースの嶋田が個の力を発揮し、ボランチに入ったFW市原煌介(2年)がエリア内に潜り込んでゴールに迫るプレー。また、「サイドに散らして、相手を揺さぶることを意識した。落ち着いて、前、前にならないプレーを見てもらいたい」というMF高田想が1年生とは思えぬ落ち着きを発揮していた。

20分には高田のスルーパスからFW齊藤翔洸(1年)が縦に抜け出して決定機を迎え、25分にはディフェンスの間を強引に割ってエリア内に侵入した市原の強シュートがポストを強襲した。

さいたま南浦和中はGK今平瑛太(2年)が1対1の決定機を阻止するなど、粘り強い守備。一方で前半はなかなかシュートまで迫れていなかった。後半は10番のFW関塚遼(2年)を中心にゴールに迫る形も。9分には関塚の落としから左SBの武海斗(2年)がカットインシュートで迫り、13分にはロングスローのこぼれ球をMF大倉泰志朗(2年)がボレーで狙っていく。

「ほかの試合でも、この次の1点を取ったら、もう完全に優位に進められるよっていうところで点が取れなかったゲームもあったので、今日ももっと早い時間に取りたかったですけど、ちょっとズルズルいって、相手に頑張るチャンスを作らせてしまった」(聖望学園中・生方繁監督)

聖望学園中はなかなか勝負を決める次の1点を決めることができなかったが、15分に待望の追加点を奪う。自陣深くからのロングカウンターで市原が長い距離をドリブルで運び出し、一度右サイドの齊藤に預けて中に入る。再びリターンをもらうと相手を引きつけながら「確実に決められる方を選びました」とエリア左の嶋田にパス。これを「ちょっとでもゴールが空いたら強いシュートで決めようと思っていた」と話す嶋田が左足のシュートで打ち抜いてネットを揺らした。

この1点で「みんなちょっと余裕が出たと思う」(監督)というチームは22分、中盤での回収からMF松本悠惺(1年)、梅木がパス交換をしながら侵入。梅木のシュートはキーパーに防がれたが、こぼれ球を嶋田がきっちりと左足で決めてこの日2点目とした。25分には相手のバックパスをカットした途中出場のMF近藤快(2年)がダメを押し、4-0快勝で連覇を果たした。

まだ3年生の公式戦も残っており、今大会はなかなか新チームとしての準備期間が取れずに難しいスタートに。高円宮杯関東予選と同日開催となった初戦の2回戦・新座第二中戦は1-0、3回戦の越谷千間台中戦は2-2からのPK戦にもつれるなど、序盤戦は苦しむ部分もあった。

「我々よりも生徒たちの方がすごい大変な大会だったと思うんですけど、本当に試合を追うごとにだんだんとそれぞれの関係性も良くなってきて、最後は良いパフォーマンス、得点もあったので良かったと思います」。決勝は今年のチームの強みである高さを活かしたセットプレーと、2、3点目は狙いを持った崩しからゴールを奪うなど、成長を見せて2年連続の戴冠となった。

前年度は新人戦で圧倒し、夏の学校総体での2冠も期待されたが、3回戦でさいたま木崎中に敗れ、ベスト16に終わった。生方監督も「正直、いまの3年生も調子に乗ったし、僕も調子に乗った。こんなんじゃないよっていうのは、今回の学総の負けで簡単じゃないよっていうのがわかったので、本当に技術とか判断だけでは勝てない。それは高円宮杯でも感じたところ」と話す。

「やっぱりいろいろなアスリート能力も上げていかなきゃいけないし、たくましく戦い続けなきゃいけないっていう要素は入れていかないといけないかなっていうのはあります」(生方監督)

前年度は新人戦のサッカーを高めていく形で強化してきた中でロングボールを蹴り込んでくるチームに苦戦。「それをどう対応して、マイボールの時間にするかとか、それを蹴らせないかっていうところはもっとやらなきゃいけないかなと思います」というのは今後の成長点だ。

「聖望は新人戦だけっていうふうに言われないように、これからもさらに成長していけるようにやっていきたいと思います」(生方監督)。主将の市原も「これからのひとつひとつの練習を大事にして、みんなで頑張って、全国大会に行けるようにしたい。最後のラストパスの部分だったり、声かけの部分でみんな、ひとりひとりが声を出せるようにしていきたいと思います」と意気込みを語った。うまさに加えて、より「たくましく戦い続ける」集団に成長して来夏も主役となる。

石黒登(取材・文)

試合結果

聖望学園中 4-0 さいたま南浦和中
1(前半)0
3(後半)0