[選手権]浦和学院が37年ぶりのファイナルへ!「あのインターハイが自分たちを成長させてくれた」夏の経験を繋げ、強豪・西武台を撃破
第103回全国高校サッカー選手権大会埼玉県大会の準決勝が10日にNACK5スタジアム大宮で行われ、浦和学院と西武台が対戦。浦和学院が1-0と勝利し、第66回大会以来37大会ぶり2度目となるファイナル進出を決めた。初優勝を目指し、17日の決勝で正智深谷と激突する。
準決勝でもやることは変わらない。「いつも通り、良いゲームをしよう!」(川上耕平監督)。浦和学院は自分たちのスタイルで、時に楽しみながら80分間を戦い抜き、強豪・西武台を下した。
立ち上がりから恐れず繋いでビルドアップ。すると前半7分、セットプレーからゲームを動かす。左CKに対し、ゴール前で一列に並ぶとDF秋澤聖(3年)のキックとともに走り出し、ニアサイドに飛び込んだFW橋本秀太(3年)がヘディングでクロスバーに当てながら叩き込んだ。
橋本はインターハイ予選準々決勝以来、約5か月ぶりのゴールだっただけに喜びがあふれた。「やっとFWの仕事ができた。西武台がマンツーでしっかりついてくるチームだったので、どう振り切るかっていうのを今週ずっと練習していた」(橋本)。練習ではなかなかうまくいかない部分もあったという中で本番の、しかもチームのファーストチャンスを仕留めて結果を出した。
その後も浦和学院は、守備時は準決勝も身体を張ったシュートブロックを連発していたDF御武内龍吾(3年)を軸に5枚で固く守りつつ、ボールを持てばディフェンスラインからゆっくりと繋いで組み立て。28分にはMF坂間真翔(3年)がMF平昭一哉(2年)とのパス交換からエリア内に侵入。ここは西武台の守護神・松田聖也(3年)に防がれたが、チャンスを作った。
川上監督も「本当に自分たちがボールを持ってやれるっていうのがわかったので、すごく良い前半だったと思います」。10番MF平瀬優真(3年)主将は「インターハイでここで昌平に負けた時にちょっと引きすぎて守り切れなかったっていうのが一番あれだったので、だったらまずは前から行こうっていうのは川上先生も言っていますし、選手同士でも言っているので。何もできずに終わってしまったあのインターハイが自分たちを成長させてくれたと思います」と話す。
西武台は相手コートに押し込んでプレーする時間が多かった中で、MF鈴木洸晴(3年)やFW竹内奏海(3年)がゴールに迫ったが、相手の堅陣を崩せずに苦戦した。状況を変えるべく、後半11分にFW太田和希(2年)を投入し前線の血の入れ替え。18分にはFW藤木浩人(3年)のクロスを太田が胸で収め、放ったボレーシュートは惜しくも枠を捉えることができなかった。
後半は西武台がさらに攻勢を強めたが、浦和学院は御武内、秋澤、DF上村龍生(3年)の守備の3枚看板を中心にしっかりとブロックを形成して中央をブロック。また、相手のファーを狙ってくるクロスには「今年に入って結構ハイボールの練習をしてきたので、その成果が出たなって。自信を持ってできました」と話す守護神の岡本悠汰(3年)が最後の門番として立ちふさがった。
浦和学院は終盤、途中出場のFW宮本翔(3年)が苦しい時間帯でも前線でフィジカルの強さを生かして身体を張ってボールをキープし味方を助けた。西武台は42分、DF久保涼輔(3年)の左CKからDF高倉大翔(2年)がヘディングで迫り、46分には左クロスから太田が迫ったが、決めきれず。最後まで集中した守備を見せた浦和学院が1-0で勝利し、決勝に進出した。
S2チームの決勝進出は第99回の武蔵越生以来。指揮官は「本当に30人のメンバー全員が結束力が高いので、そういう部分かなと。明るくて、元気なので」とチームの結束力をキーに挙げる。主将の平瀬は以前、「元気なところとか、ノリが合うとか、センスのあるやつらなので、それがかみ合った時に面白いサッカーになるかなっていうのは始動時からありました」と話していた。
決勝の舞台は学校からほど近い埼玉スタジアムだ。岡本は「目標にしていたので、いまからめちゃめちゃ楽しみ。いまのところ無失点なので、決勝もみんなと協力して無失点優勝を目指します」と宣言。1年次だった2年前に同スタジアムでの準決勝を経験している平瀬は「2年前はあそこで負けているし、その負けた日から今日までずっと埼スタに帰ることを目標にしていたので、そこで勝たなきゃ意味がないですし、絶対に勝ちたい」と力を込める。37年前は大宮東に敗れ準優勝だったが、武南、西武台と連破し勢いに乗る浦和学院が今度はチーム一丸、一番を掴み取る。
石黒登(取材・文)
試合結果
浦和学院 1-0 西武台
1(前半)0
0(後半)0