[選手権]浦和学院、98分の劇的弾で大宮南を下し8強!堅守に苦しむも「勢いのある3年生」投入し泥臭く1点もぎ取る
第103回全国高校サッカー選手権大会埼玉県大会のラウンド16が26日に行われ、浦和学院と大宮南が対戦。浦和学院が延長後半8分のDF御武内龍吾(3年)弾で競り勝ち8強に進出した。
両チームは今季ともにS2A(県2部A)リーグに所属し、浦和学院が前期、後期ともに勝利(3-2、2-0)。だが、その状況も「ちょっとやりづらかったですね」と川上耕平監督は話す。
「勝つとしたら1-0」と田中龍太郎監督も話した大宮南は試合を通して守備を徹底。GK磯野志政(3年)主将が的確にコーチングしながらDF鈴木宥志(3年)、DF野原俊汰(3年)、DF舩津貴成(2年)の3枚を中心とした5バックで引き込みながら相手にスペースを与えなかった。
3バックでスタートした浦和学院は10番MF平瀬優真(3年)が中盤底で舵取りをしながら、左FW佐藤大心(3年)が縦突破を図るが、なかなかゴールに迫りきることができず。「ゴール前に迫る回数はもっと増やしていかないとだったし、前半はちょっと慎重になりすぎた」と平瀬が反省したようにゴール前での果敢さを欠き、前半は両チームともにシュート0本に終わった。
浦和学院は後半、4バックに変更。4分には「縦は自分の中で結構ストロングだと思っているので、もうここから行こうと思い切っていきました」という佐藤がドライブから深く抉りシュート。こぼれ球を交代出場のFW橋本秀太(3年)が狙ったが、枠を捉えきることができなかった。
後半は橋本や29分からはFW宮本翔(3年)など攻撃的なタレントを切って勝負に。橋本が左右から距離のあるロングスローを放りながら、DF秋澤聖(3年)らがゴールに迫ろうと試みた。
一方、大宮南もしっかりと守りつつ、終盤にゴールに迫る。37分、縦パスを収めた途中出場MF吉松空音(2年)が決定機を迎えたが、シュートは相手DFにクリアされてゴールとはならない。
試合は0-0のまま延長戦へ。浦和学院は延長後半4分、MF坂間真翔(3年)の左CKからDF上村龍生(3年)のヘディングがバーに弾かれる場面も。それでも何度も扉を叩き続けるとついにその瞬間が訪れる。8分、橋本のロングスローを宮本がニアですらすと、「(セットプレーが)何回もあった中で本当は中に行きたかったですけど、外で待っていた」というDF御武内龍吾(3年)が頭で叩きつけゲット。98分目にして相手の堅守をこじ開け、これが決勝点となった。
「かなり研究されて、ちょっと塞がれちゃったなっていうところと、それを上回るだけのことができなかったなと」(監督)。浦和学院は今年から京都橘でコーチとして選手権準優勝も経験している川上監督体制となり、「よりボールを持つ」スタイルにチャレンジ。前回4強入りした2年前の代と比べても「チームとしてボールを動かしたり、そういうことは積み重ねている」というチームは、練習試合では強豪校相手にもそういうプレーを発揮できる時間は増えているという。
一方でこの日は相手の堅守に対し、なかなか侵入していくことができずに苦戦した中で「前の3年生に勢いがあるやつが多いので、もう今日はそこの勝負に委ねました」。決勝点は橋本のロングスローから宮本がヘディングで繋いでアシストするなど、途中交代の「勢いのある3年生」2人が絡んでの形。指揮官は「選手権っぽい試合になっちゃいましたね」としつつも、自分たちの戦いができない中でも焦れずに戦い抜いた選手に「そこは成長を少し感じました」と評価した。
総体予選では4強に進み、その後日本一となった昌平と対戦。0-5で敗れたが、「これがやっぱり日本一なんだなと思って。もう悔しくて、日々の練習からどんどん変わっていった感じです」(佐藤)、「練習から1体1の部分とか、絶対こいつに負けねえぞみたいな。うちは11番(佐藤)がドリブルが得意なので、マッチアップするときも絶対に負けないように闘争心を持ってやっていました」(御武内)とひとりひとりが全国トップを相手に観じた課題と向き合い成長。決勝で昌平にリベンジするためにも、まずは目の前の準々決勝を勝利し2大会ぶりの4強を目指す。
石黒登(取材・文)
試合結果
浦和学院 1(延長)0 大宮南
0(前半)0
0(後半)0
0(延前)0
1(延後)0