昌平が2点ビハインドを追いつき、PK戦の末に桐光学園に逆転勝ち!5大会で4度目の4強
令和6年度全国高校総体(インターハイ)男子サッカー競技の準々決勝が31日、Jヴィレッジで行われ、昌平は桐光学園(神奈川)と対戦。2-2からのPK戦の末に勝利し、2大会ぶりのベスト4進出を果たした。初のファイナル進出をかけ、準決勝で帝京長岡(新潟)と激突する。
「もう前半の出来を見たらわかりますけど、負けを覚悟しました」と玉田圭司監督がいうように、土俵際まで追い詰められたことは間違いない。前半、昌平は桐光学園の相手のストロングを徹底して消しにくるスタイルに対し、なかなか自分たちのサッカーをさせてもらえずに苦戦した。
その中で22分にコーナーキックから今大会初めて先制を許すと、27分にはゴールエリア内で倒してしまいペナルティキックを献上。これを相手10番に決められて早々に2点を失った。
昌平のチャンスは33分、前線の連動したディフェンスからMF大谷湊斗(3年)主将が敵陣でパスカット。ドリブルで持ち出すと、キーパーの位置を確認しループシュートで狙ったが、枠を捉えきれず。前半はこれを含めシュート2本と、ほとんど決定機を作ることができなかった。
それでも両サイドに10番のU-17日本代表MF山口豪太、MF長璃喜の勢いのある2年生コンビを投入し、「リスクを冒せ」と指揮官からゲキをもらった後半、昌平の攻撃にスイッチが入る。
1分、大谷がいきなり抜け出してチャンスを演出。鄭へのクロスは相手DFにカットされたが、惜しいシーンだった。3分にはMF本田健晋(3年)がミドルで、5分には大谷の浮きパスに鄭の裏から走り込んだ左SB上原悠都(3年)がゴールネットまで突っ込んでいく気概を見せる。
再開5分で3つの好機を作ると9分、山口のサイドチェンジから長、オーバーラップした上原と繋ぎ、クロスをDFが弾ききれなかったこぼれをFW鄭志錫(3年)が頭で沈めて1点を返す。
その後も昌平はリスクを負いながら、サイドや中央で次々と選手が追い越していく動きを見せ、山口や長、大谷が連続したワンタッチプレーでゴール前に侵入していくプレー。また20分にはMF鈴木宏幸(3年)が、24分には攻め上がったCB坂本航大(3年)が果敢にミドルで狙う。
また27分、疲労の見え始めた右SBの安藤愛斗(2年)に変えてCB鈴木翔(3年)を投入。それに伴い、攻撃力のある中松陽太(3年)がCBから右SBにスライドするとこれがハマった。
「僕からしたらSBはもうFWみたいなイメージ。もう最後なのでFWの位置まで上がって点を取ることだけを考えていた」(中松)。34分、MF本田健晋(3年)の右クロスにインナーラップしてゴール前に入ると、ヘディングでゲットし咆哮。土壇場で同点に追いつくことに成功した。
試合は70分で決着がつかず、PK戦へ突入。先行の桐光学園が2本目、4本目を外したのに対し、昌平は大谷を筆頭に鄭、山口が連続して成功。勝てば勝利の4本目を坂本がきっちりゴールに蹴り込んで歓喜の瞬間。昌平が前半の2点ビハインドからの逆転劇でベスト4進出を決めた。
後半はこの準々決勝の舞台でも相手を圧倒。点を取る力も見せただけに前半の出来が悔やまれる部分もあるが、玉田監督は「でもこういう試合でやっぱり自分たちのそのポテンシャルみたいなものを改めて俺も感じたし、選手たちも感じてくれたから、こういう試合で勝てたことは僕にとってもそうだし、選手にとってはただの1勝ではないなと思います」と選手の成長を期待した。
昌平は出場した5大会で4度目の4強進出。一方でそのベスト4がひとつ壁となっている。大谷主将は「優勝するなら自分たちの代だと思っている。絶対に優勝します」と日本一を誓った。
石黒登(取材・文)
試合結果
昌平 2(4PK2)2 桐光学園
1(前半)0
1(後半)0
4(PK)2