[総体予選]互いに鼓舞し合い、繋がる守備でシャットアップ! 粘り強い“らしさ”が出てきた浦和東が花咲徳栄を下す
令和6年度全国高校総体サッカー大会埼玉県大会の1回戦が1日に行われ、浦和東と花咲徳栄が激突。浦和東が前半にMF菅野琉(3年)が挙げたゴールを守りきり1-0で勝利を飾った。
浦和東は前半16分、1年次から主力を務め、今年10番を背負うMF田中涼賀(3年)が左サイドを突破。「涼賀が1、2枚は打開できる能力があることは知っていたので、自分は信じて走って当てて決めるだけでした」と話す左SHの菅野琉(3年)がダイレクトで合わせて先制した。
一方、先制を許した花咲徳栄も今年は昨年から主力が多く残る有力代。10番のMF仲山陽(3年)を中心にパスを繋ぎながらFW西尾優輝(3年)やDF丸山颯斗(3年)がゴールに迫る。
それでも浦和東はDF岩井友佑(3年)が相手のシュートコースに入るなど局面でしっかりとカバー。花咲徳栄は前半AT、コーナーキックのこぼれ球にMF小林聖(3年)が右足を振り抜いたが、このときもしっかりと田中がシュートブロックに入るなど、最後の部分ではやらせなかった。
後半、浦和東は5バックに変更。相手のサイド攻撃に対し取りどころなど守備の意識を共有して臨む。しっかりと守りつつ、22分には田中のロングシュートがクロスバーを叩く場面もあった。
「追加点を取れるチャンスもあったので取れていれば良かったですけど、そうじゃない時にも「守るっていったら守る」っていうところが、いままでやってきた成果が出た」(平尾信之監督)
前日のミーティングで再度確認し合った「浦和東らしさ」という言葉に象徴されるハードワークや声、球際をひとりひとりが体現。DF石﨑陽太郎(3年)は「全員で声を出して壁を作れたと思う。蹴られたところにしっかりと対応して、跳ね返して、クリアも大きくできたのであまり怖いところはなかったんですけど、全員で最後まで集中して戦うことができました」と胸を張る。
また、目立ったのが互いを鼓舞し合うプレーだ。気持ちのこもったプレーに「ナイスプレー!」と声を掛け合いながら、手をたたき合い、一体感や繋がりを感じさせる守備。MF林直孝(3年)は「自分たちの代は仲が良すぎて、それがあまり良くない方向に行っちゃうこともあるんですけど、こういう試合で仲の良さがカギとして現れたのは良かったと思います」と振り返る。ハイタッチで互いの熱を渡し合うような熱い守備で無失点に抑えた浦和東が1-0で初戦を飾った。
今年の代は前線でも変化をつけられる選手もおり、関東大会覇者の西武台を下してベスト4入りした3年前の代のような攻撃も期待できるチーム。一方で、「すごく勝負弱くて、リーグ戦とかもすごくもったいない失点をして負けちゃったりとか、ちょっとそこのところは例年の浦和東の勝負強さとか、粘り強さとかっていうのはちょっとなかったんです」と平尾監督は話す。
「でも彼らもそういう失敗をいっぱいしてきて、今日も、いつもだったら前半最後のコーナーキックとか、ああいうところで今年のチームはやられちゃうんです。でもそこを守り切ったりとか、最後ロスタイムが6分と出てもそこを守り切ったりとか、あの辺はちょっと成長したかなっていうところですね」(監督)。粘り強い“らしさ”が出てきた浦和東がトーナメントをかき回すか。
石黒登(取材・文)
試合結果
花咲徳栄 0-1 浦和東
0(前半)1
0(後半)0