[総体予選]強敵相手に戦い抜き、「ご褒美」の延長戦で2得点!坂戸西が市立浦和に大金星

「ご褒美」の延長戦で2得点を挙げ勝利! 令和6年度全国高校総体サッカー大会埼玉県大会が1日に開幕。1回戦では支部勢の坂戸西が延長戦の末に5-4で市立浦和を下し、金星を飾った。

吉田誠監督は「もうここまでやるとは。春から成長してきた実感は生徒も私もあったんですけど、ここまで頑張ってくれるというのは本当にもう想像を超えて、彼らを讃えたい」と選手を讃えた。

西部支部2部の坂戸西にとって、S1(県1部)の市立浦和は実質的に3カテゴリも上の相手。だが、その強敵に対してもしっかり守りながら、恐れずに前に出た坂戸西はフィジカルの強さやキープ力に自信を持つ10番FW山地ルアン(3年)主将にボールを集めながら攻撃を展開する。

すると前半14分、敵陣右中間タッチライン際でボールを収めた山地は「少しキーパーが前に出ていて、ゴールが見えた」と超ロングシュート。これがゴールに吸い込まれ、坂戸西が先制した。

さらに前半ATには追加点。40分、MF眞下亮央(3年)がゴール前に入れたフリーキックから山地がヘディングで突き刺した。一方、市立浦和も41分、左WBの田邉快斗(3年)のクロスにゴールエリア内に走り込んだMF村上光希(3年)がヘディングで決めてまずは1点を返す。

しかし、後半立ち上がりに坂戸西が再び突き放す。2分、右コーナーキックから味方がヘディングで競ったこぼれ球をMF切敷信之介(2年)がダイレクトシュートで沈めて1-3とした。

攻めるしかない市立浦和は、この日は怪我もありベンチスタートとなったFW田中悠真(3年)、FW横井葵(3年)の攻撃の2枚看板を投入。相手コートでプレーする時間を増やすと23分、田中のアシストから10番MF高橋隼(3年)がゲット。さらに29分にはMF嶋田秀太朗(2年)のパスを預かった高橋が再びゴールに突き刺して、ついに同点に追いつくことに成功した。

「(苦しい時間が続くのは想定内で)準備はしてきたんですけど、やっぱり動かしたり、こういうところでミスなくボールを運んできたり、失点の場面もそうですけど、ああいう嫌なところにちゃんとボールを入れてくるっていうのはやっぱり市高の能力の高いところで、あれをさすがに抑えきることはできなかったなというのは。やっぱり良いチームだと思います」(吉田監督)

それでも坂戸西は最後のところで粘り。前半終盤のアクシデントで急遽、3バックに入った眞下は「チームの意識として中は守るみたいな意識でやっていて、後半は失点が多かったですけど、うまく守れたと思います」とし、最後の部分で勝負を決める1点を与えなかったGK青木駿(2年)は「11人全員がもうずっと最後まで集中を切らさなかった結果だと思います」と胸を張る。

試合は延長戦へ。「正直、80分戦った後は消耗はだいぶしていましたが、これは「ご褒美」だと。失点したとしてもあと20分間戦えるというのは我々にとってはご褒美だというつもりで送り出しました」(監督)という坂戸西が自分たちで勝ち取ったその「ご褒美」の時間でも躍動する。

延長前半6分、左サイドでスローインを受けたMF谷口友希(3年)は「最初返そうとしたんですけど、9番の眞下亮央に「自分で行け!」と言われて。練習でもあのコースは練習していて、練習よりもうまく蹴れた」。右足のコントロールシュートが決まり、勝ち越しに成功。さらに延長後半2分には谷口のパスに抜け出したFW尾﨑煌(3年)が決めてリードを広げる。市立浦和は終了間際に高橋が決めてハットトリックとしたが、実らず。坂戸西が5-4で勝利を収めた。

新チーム発足当初はおとなしい選手が多く、なかなか試合中も声が出ない場面もあったというが、この試合は1試合を通して声を切らすことなく戦い抜いた。山地主将は「新チームになってからいろいろな試合をしてきてそこで学んだことは大きいし、やっぱりたくさん負けてきたからこそ、この大舞台で勝利ができたと思う。そこはチームの成長だと思います」と力を込めた。

石黒登(取材・文)

試合結果

市立浦和 4(延長)5 坂戸西
1(前半)2
2(後半)1
0(延前)1
1(延後)1