高校女子の令和６年度学校総合体育大会埼玉県大会は11日、浦和駒場スタジアムで３位決定戦を行い、花咲徳栄と埼玉栄が対戦。スコアレスからのPK戦の末に花咲徳栄が勝利を収めた。

３位決定戦は系列校同士のダービーに。埼玉栄は準々決勝で浦和西にPK戦の末に勝利し16年ぶりの４強入り。準決勝で南稜に敗れたが、この日は前半からアグレッシブなプレーを見せる。

果敢にプレスをかけながら、相手の攻撃的な特徴を持ったディフェンスの選手たちの押し上げを許さず。中盤で出足早くボールを拾い、MF田中ひより（３年）が抜け出してゴールに迫った。

一方、花咲徳栄は準決勝からメンバー８人を変更してスタート。中盤以降は苦しい時間帯もあったが、ディフェンスラインや初スタメンのGK須川杏莉（２年）を中心に０－０で折り返す。

後半頭からは４バックに変更し、MF山本莉音（３年）やMF宍戸凛花（１年）ら、今大会を通してスタメン起用されてきた選手たちを次々と投入。フォーメーション変更に伴い、左サイドバックにポジションを移したDF井上らら（３年）が積極的に攻撃参加してゴールを狙っていく。

対する埼玉栄もDF福田侑香（３年）、DF美馬陽音（３年）、DF矢島妙（１年）、DF町田友香（１年）の４枚が試合を通じて集中を切らさず、身体を張ってディフェンス。しっかりと耐えつつ、カウンターからMF今泉爽（１年）のミドルシュートがクロスバー下を叩く場面もあった。

試合はそのまま延長戦へ。そして90分を越えても決着がつかず、勝敗はPK戦にもつれ込んだ。

花咲徳栄は準決勝で川口市立にPK戦で敗戦。「準決でPKで負けた分、３決は絶対に勝ちたいっていうところで、みんなで３学年ひとつになって勝ちにいけたと思います」（山本）。先行の花咲徳栄は１番手を蹴った山本を始め４人目までが全員成功。対する埼玉栄は１人目と４人目が失敗し、花咲徳栄がPKスコア４－２で勝利し、系列校ダービーを制して３位で大会を終えた。

花咲徳栄は新人戦以降、まずは負けないことをフォーカスし、スピードのあるアタッカーの井上を左のストッパーにコンバート。春のめぬまカップでは全国の強豪が集う中で４位と躍進した。

今大会は初戦で松山女子にセットプレーから失点したが、「１対１は絶対に負けないようにしていて、松山女子戦以外は０で抑えられて自分の中でもできたのかなと思います」という井上やこちらも攻撃的なポジション出身のDF村田叶海（３年）が１対１やスピードの部分で強さを発揮。「今大会は自分と土肥（七々莉）と井上の３人で連携して、チャレンジ＆カバーや声かけもしっかりできたと思います」（村田）。５試合１失点と守備面では手ごたえを掴んだ大会となった。

一方で２試合無得点に終わった攻撃面は課題に。末貴光監督も「やっぱり後ろに比重を置いた分、ひとつふたつオプションを持ってやっていかなければいけない」と話す。まだ新布陣を始めて日が浅いということもあり、細かい戦術理解や攻撃のオプションなどは今後に向けた伸びしろだ。

山本は「これから夏に向けて、また１からメンバー争いも始まると思うので、チームでも個人でも質を高め合っていきたい。（ここ４年は）連続で逃している全国なので、県で優勝して全国大会に出られたら」と意気込み。夏に大きく成長して連覇＆久々の全国がかかる選手権予選へ向かう。

石黒登（取材・文）

試合結果

埼玉栄　０（２ＰＫ４）０　花咲徳栄
０（前半）０
０（後半）０
０（前半）０
０（後半）０
２（ＰＫ）４