2大会ぶりのV目指す正智深谷が大一番を制す! 連覇狙った武南は準々決勝で敗退…
関東高校サッカー大会埼玉県予選の準々決勝が20日に行われ、2年ぶりの優勝を目指す正智深谷が3-1で前回王者の武南を下し4強入りを決めた。27日の準決勝では聖望学園と対戦する。
立ち上がり正智深谷はパスミスやトラップミスなどもあり試合を落ち着けるのに苦労したが、それでも前半27分、10番MF近藤七音(3年)の浮き球のパスに抜け出した右MF赤川空音(3年)が飛び出したキーパーよりも一瞬早くボールに触りループシュートで決めて先制した。
一方、武南もすぐさま反撃。30分、MF大熊來瑠(3年)のフリックから左MF畑乙樹(3年)が抜け出す。内側に切り込みながら畑はアウトサイドでのパスを選択。これをこの攻撃の起点となったMF佐藤颯(3年)がスライディングシュートで決めて、“らしい”連動から同点とする。
後半は一進一退となる中で武南は16分、大熊のコントロールシュートが枠を捉えたが、正智深谷GK森穂貴(3年)が好守で掻き出す。一方、正智深谷も後半、右MFに白岩龍(3年)を投入すると攻撃にひとつスイッチが入り、近藤とのコンビネーションからゴールに迫る場面も。小島時和監督も「後半勝負っていうのはあったので、かなりジャブは効きましたよね」と話す。
そういった中で勝負を大きく動かす1点を奪ったのは正智深谷だった。27分、ゴールエリア右手前でボールを収めたFW中島亜漣(3年)が倒されてファールを獲得。これを「昨日の練習でもまったく同じ位置から練習していた」と話すDF鹿倉颯太(3年)が直接左足で突き刺した。
さらに正智深谷はその3分後、鹿倉の右コーナーキックからDF長南結人(2年)がニアですらす形でヘッド。記録はオウンゴールとなったが、得意のセットプレーからの2発で勝負を決めた。
新人戦覇者の武南を倒してのベスト4入り。「ここが結構勝負の分かれ道というか、勢いに乗れるかどうかっていうところだったので気持ちはみんな入っていたと思う」と鹿倉。長南は「コーチとしっかりと対策を練ってきて、(その部分で)勝ち切れたところも結構多かった」と語る。
一方で課題も出る試合に。小島監督は「もっともっとサイドを使ってほしいんだけど、封じ込められた部分もあった中でそういう時にどうするのかを考えて発展していくこと(が課題)」と話す。また、後半は相手の運動量が落ちたことにより、チームとして目指す「良い守備からの良い攻撃」が出るシーンもあったが、前半はなかなか中盤でボールを引っかけることができなかった。
チームの中央で舵を取るMF大和田悠(3年)主将も「インターハイ、選手権で僕たちは全国に出ることを目指している。それを達成するためにも、もっともっとセカンドボールだったり、切り替えとか、そこをしっかりとやって、どんどんアップするようなゲーム展開にしていかないといけない」。準決勝は中盤でのボール回収にもこだわりながら、まずは関東切符を確定させる。
一方、武南は昨年まで4大会連続で出場していた本大会出場を逃す形に。内野慎一郎監督は同点ゴールの「連動」を評価しつつ、「真ん中のボランチのゲームを一貫して見られる能力と人の使い方、それからその先にあるゲームの駆け引きだったり、前のボールコントロールだったり、ドリブルだったりっていう判断力をつけること。これに尽きると思います」と今後の課題を挙げた。
石黒登(取材・文)
試合結果
武南 1-3 正智深谷
1(前半)1
0(後半)2