武南、初戦は薄氷の勝利 西武文理は最後力尽きるも善戦、人工芝Gも完成し飛躍目指す

関東高校サッカー大会埼玉県予選の2回戦が14日に行われ、新人戦覇者で今大会も連覇を狙う武南は延長戦の末に4-2で西武文理を下した。20日の準々決勝では正智深谷と対戦する。

第1シードの武南はこの日の2回戦から登場。だが、いきなり初戦から苦しい戦いを強いられた。3-4-3で臨んだ武南は前半16分、MF佐藤颯(3年)の敵陣左中間からのフリーキックをDF田村大地(2年)が競り、こぼれ球をDF大澤拓馬(3年)が右足で蹴り込んで先制した。

早々に先行した武南だったが、その後は相手の堅守に苦しんだ。西武文理は「中を締めるのと、ドリブルに対するディフェンスが一個ポイントだったと思うので、そこは簡単には剥がされない」(山口豊監督)をテーマにしながらDF鈴木瑛人(3年)を中心に粘り強い守備を徹底する。

しっかりと相手の時間帯を凌ぐと40分、MF永井涼晴(2年)の右サイドからのロングスローをキーパーがパンチングしたこぼれをDF石井優省(3年)が蹴り込んで同点に。さらに折り返した後半17分には右WBの濱野岳(3年)が中盤でボールをカットし、そこからのショートカウンターで最後はFW堅木風雅(3年)が右足を振り抜いてゲットし、試合をひっくり返した。

追いかける展開となった武南は39分、FW大熊來瑠(3年)がエリア外から強烈なミドルシュートを見舞ったが、ここは西武文理GK野上勇輝(3年)主将が横っ飛びで掻き出し難を逃れる。試合はそのままアディショナルタイムへ。それでも武南は42分、大澤のロングフィードにスピードのある大熊が抜け出すとエリア内で倒され起死回生のペナルティキックを獲得する。そしてこれを10番MF有川達琉(2年)がきっちりと決めて土壇場で追いつくことに成功した。

延長戦も押し込んで進めた武南は後半6分、「監督にも真ん中で勝負しろと言われていた」という有川がMF川崎悠斗(3年)のシュートの跳ね返りに飛び出し、ペナルティキックをゲット。これを自ら沈めて勝ち越した。さらに8分にはDF関口海龍(2年)のクロスバー強襲のシュートにFW河西琥(3年)が詰めるなど、延長後半に2点を加えて、4-2で逆転勝ちを収めた。

初戦から苦しんでの勝利。内野慎一郎監督は相手の堅守を讃えつつ、「それにしても自滅するシーンが多かった」と反省する。この日はドリブルだったらドリブル、パスだったらパスとやや固執しすぎてしまった場面も。準々決勝は今大会でも最大の障壁となりそうな正智深谷との大一番だが、勝利とともに「武南らしさ」やチームとして大事にする「判断」など内容も求めていく。

一方、西武文理も最後は力尽き敗れたものの、精錬された守備で新人戦覇者の武南を最後の最後まで追い詰めた。今年の代は野上や鈴木、インサイドハーフの10番MF谷想太(3年)、永井、FW佐野大海(3年)と屋台骨を支えるセンターラインが全員昨年の経験者と楽しみな代だ。

人口芝グラウンドも完成し、試合の翌日が受け渡しだった。「明後日以降は人口芝で練習できるので、もうちょっといろいろな部分で質も少し上がるのかなと。顔が上がったり、球を動かすところももうちょっとできるようになるかなと思う」と山口監督も期待を寄せる。4月からは昨年まで西武台でコーチを務めた黒岩宏明コーチが赴任。「良い風というか、人口芝と黒岩先生が来たのは新しい転機かなと思うので、ひとつ今年は飛躍できるチャンスなのかなと思う」と話した。

石黒登(取材・文)

試合結果

武南 4(延長)2 西武文理
1(前半)1
1(後半)1
0(延前)0
2(延後)0