平成29年度埼玉県高校サッカー新人大会北部支部予選準々決勝 深谷第一 vs 早稲田本庄
平成29年度埼玉県高校サッカー新人大会北部支部予選。27日は雪の影響で各会場が延期となる中、埼玉工業大学会場で北部支部準々決勝2試合が開催された。深谷第一高校と早稲田大学本庄高校の一戦は2ー0で早大本庄が勝利し、準決勝進出とともに関東大会予選出場を決めた。
心配された雪の影響はなかったものの、代わりに強風が吹く中で行われたこの日のゲーム。立ち上がりは早大本庄が押し込んだが、相手のプレスに苦しみシュートまで持ち込めずにいると、徐々に風上に立つ深谷第一がMF丸山康太を起点にゴール前に迫る展開を増やしていく。
それでもここをしっかりと耐えた早大本庄が前半40分にスコアを動かした。連続してコーナーキックを迎えると「アクセントを加えたかった」とキッカーのMF夏目祥希はショートコーナーを選択。一度は弾かれたものの、こぼれ球に反応した夏目がゴール右上に突き刺した。
「入りはあまり良くない中で耐えてワンチャンスを決めることができた。純粋に嬉しかったですし、あの時間に点を決められたのは後半に入る上でもかなり良かったのかなと思います」と夏目。新チームを牽引するキャプテンの一撃で早大本庄が1点リードで試合を折り返した。
迎えた後半早大本庄はメンバー2枚を入れ替え。システムも前で起点を作るべく4ー1ー4ー1から4ー4ー2に変更し、開始早々から相手ゴールに迫る。4分にはアンカーに入った戸部広大がドリブルでFW平田陸人のシュートを演出すると、前半は守備的な役割を担うことも多かったMF杉田瑞起も「真ん中が2枚になってバランスを意識しないといけないところもあったが、後半は攻撃参加、2列目からの飛び出しを意識していた」と積極的に仕掛けていった。
また後半から入った右サイドバックの西村鋼平が再三にわたってサイドを攻略。21分には深谷第一GK塚原幹太の好守に遭ったが、平田の突破から戸部と繋いで夏目が決定機を迎えた。
一方の深谷第一はDF杉浦穂一を中心に後ろで耐えながら、攻撃ではFW鈴木翔梧がフィニッシュまで持ち込む場面を作るが、ゴールを割ることができないまま時間だけが経過していく。
すると再びアディショナルタイムに早大本庄が試合を決定づける追加点を奪う。決めたのは後半30分過ぎに投入されたFW荻原隆明だ。攻めながらもシュートがない中で「自分が出たら遠目からでも狙おうと思っていた。厳しい状態でもシュートかなという感じはありました」。
前に仕掛けた黒澤のパスをフリーで受けると、キーパーが前目に構えているのを見逃さずにエリアの外から右足でループシュート。「風に乗っていけばいいかなと思った」というボールは狙い通りうまく風に乗りながらキーパーの指先をかすめてゴールネットに吸い込まれた。
ゴール後は普段はあまりないというガッツポーズも見せた。「土壇場の1点というのはサッカー人生の中でもないので嬉しかったですね」。2ー0とした早大本庄が準決勝進出を決めた。
2得点ともに40分を越えてからの得点。早大本庄・篠田洋之監督は「ここまで来るとどの試合も楽には勝てない。苦しい試合の中でああいう時間帯で取ったというのもひとつ価値があるかなと思う。これを良い経験に変えて成長していければいいと思います」と振り返った。
またこれで北部4強となり、関東大会予選出場も決定。4月で赴任5年目の指揮官にとっても初の関東予選だ。「これまでずっと逃していたので4月に県大会で戦えるというのはすごく嬉しい。強化の意味でもそこを経験できるというのでとてもワクワクしています」と喜んだ。
今年のチームはボールや人の動きといった連動をフォーカス。チームの中心は夏目、杉田、戸部の中盤のトライアングルで、この日も攻守で運動量高く動き回りチームの潤滑油となった。
ちなみ準々決勝では選手を乗せた電車が強風による遅延で動かなくなるというアクシデントが。普段はスタメンの西村、FW富永東吾も乗車しており、公共交通機関を利用しながらなんとか試合前には到着したというものの、アップが間に合わずに後半からの出場を余儀なくされた。
急遽の変更となったが、そんな中で「代わって出た選手たちも一人一人がやることをやったのでこういう結果に繋がった」(夏目)。後半から出場となった2人も素早くゲームの流れに乗ってチームが前に出て行く推進力となるなど、選手を変えても戦えるチームの厚みがある。
準決勝は熊谷高校との対戦が決まった。「まだ終わっていない。ここは通過点なので、次も勝って新人戦県大会を決めたいと思います」と夏目主将。勝って2つ目の県を確定させる。
石黒登(取材・文)
試合結果
深谷第一 0-2 早大本庄
0(前半)1
0(後半)1