前半に退場者、先制点許すも、攻撃的に戦い逆転勝利!埼玉栄が浦和学院との“裏天王山”制し、残留に望み残す
26日、高円宮杯U-18サッカーリーグ2023埼玉1部リーグ(S1リーグ)第17節の残り1試合が行われ、埼玉栄と浦和学院が対戦。埼玉栄が後半の2ゴールで2-1と逆転勝利を収めた。
最終節までもつれた昌平Ⅱ、正智深谷の優勝争いも注目のS1だが、残留争いも今年は熾烈だ。今節では9位の浦和学院(勝ち点11)と10位の埼玉栄(勝ち点10)が直接対決。両チームともに残留圏の8位(市立浦和/勝ち点15)に望みを残すためにも負けられない一戦となった。
良い立ち上がりを見せたのはホームの浦和学院だ。開始1分も立たずにMF小川雄大(3年)が決めたゴールはオフサイドの判定だったが、いきなりチャンスを迎えるとその後も左SB町田叶翔(3年)が高い位置を取りながら押し込み、FW佐藤大心(2年)がカットインから狙った。
一方、埼玉栄は重たいスタート。16分にはDF大越千歳(2年)が相手を阻止にいったプレーがレッドカードを取られるなど、早い段階で10人での戦いを強いられる。その中で浦和学院は30分、MF内田彪(2年)の左CKからFW平昭一哉(1年)が頭で沈めて先制に成功した。
埼玉栄としては苦しい展開。それでもその「行くしかない」という状況が良い意味でのスイッチとなった。後半は前線の人数を増やし、より攻撃的に。加藤佳大、小谷野珠羽(ともに2年)の2トップが前線から果敢に追い、松本浩輝(3年)、嶋家礼人(2年)、伊藤潤(1年)の中盤3枚がスライドしてボールを奪取。また、サイドバックが高い位置を取って逆に相手を押し込んだ。
すると14分、加藤がゴール前に上げたフリーキックから、伊藤が相手とのポジション争いでうまく落下点に入りヘディングで決めて同点に。そして24分にはMF片波見大輝(3年)のフリーキックから「しっかり芯で当てられた」という加藤がヘディングでネットを揺らして勝ち越した。終盤も片波見、DF原田空虎(2年)らがしっかりと跳ね返し、2-1で逆転勝利を飾った。
2ゴールはいずれもセットプレーからだったが、後半は攻守で連動を見せ、ひとり少ないとは思わせない攻撃的なサッカーでの逆転劇。滝井友和監督は「多分相手としてはひとり人数が少ないのに圧はあったんじゃないかなと。うちの選手もありがちですけど、不安で後ろに選手を余らせたい気持ちがあるんですけど、多分1対1でも守れるのに余らせて、点を取らなきゃいけないのに前に人数がかけられない。ああやってやっても守れるっていうのを知ってもらえれば」とした。
この勝利で埼玉栄が勝ち点を「13」に伸ばし9位に浮上。命運を懸けた次週の最終節は同「15」の8位・市立浦和が5位の浦和南と、勝ちが最低条件の埼玉栄は7位・聖望学園と激突する。
埼玉栄はこの日受験で10番MF小磯慧秦(3年)らがベンチ外だったが、トップチームの3年生は最後まで残って戦うことを選択。片波見は「選手権は16で終わっちゃって、S1降格となると後輩たちに残せるものはないので、なんとしても残留して後輩に残していきたいっていう想いは3年生全員がある」と話す。最終節は受験で不在となるためこれが高校最後の公式戦となったDF正木嶺之介(3年)は「最後の試合でチーム一丸となってサッカーできたのはとても嬉しかった」とし、「あとはもう仲間に託して。信じているので大丈夫です!」と望みを託した。
石黒登(取材・文)
試合結果
埼玉栄 2-1 浦和学院
0(前半)1
2(後半)0