聖望学園が川越東を下し3年ぶりの選手権8強! 途中出場の10番主将が流れ引き寄せる
聖望学園が3年ぶりの選手権8強入りだ――。「第102回全国高校サッカー選手権 県大会」は21日、3回戦の7試合を行った。今季S1リーグを戦う聖望学園は総体予選8強の川越東と対戦し、後半の2ゴールで2-0と勝利。聖望学園は29日の準々決勝で正智深谷と対戦する。
聖望学園は立ち上がり、相手とのフォーメーションのミスマッチから攻め込みを許したが、3バックから4バックにし、4-2-3-1に変更した15分以降はボールを握りながら展開した。
後半も相手コートでゲームを進め、5分にはMF吉岡洸晟(2年)がエリア内で倒されてPKを獲得。しかし、MF渡邉潤(3年)のコースを狙った左足のキックは右ポストに弾かれてしまう。
嫌な流れが立ちこめかけたが、これを変えたのが途中出場の10番主将だ。怪我でベンチスタートだったMF市原憐(3年)は17分に投入されると、「(前半は)パスばかりでドリブルでの進入がなかった。自分が出たらパスをもらってエリアに進入していって、相手が嫌なことをやろうかなと思っていた」という言葉通り、ファーストプレーからエリア内に切り込むプレーを見せる。
すると投入から2分後の19分だ。右サイドをFWペイトン有玖主(2年)が突破してマイナスのクロスを送ると、市原が左足のダイレクトシュートでゲット。この試合の2タッチ目で早くも結果を残す。さらに28分には吉田の右クロスを市原が巧みなポストワークで落とし、「前半はあまりボールが受けられていない状況が多かった。後半は自分もゴール前に参加する勢いで、ボールに関わっていこうと思った」というMF橋本翔希(3年)が流し込んで勝負を決定づけた。
川越東は8強入りした6月の総体予選から勉強に専念する3年生が引退。メンバーも半数以上が入れ替わった中で立ち上がりにFW星漣音(3年)、FW大前遥斗(3年)がゴールを狙い、守備では夏も存在感を見せていたDF剣持正翔(3年)や新主将のDF石塚真士(2年)を中心に自陣に引き込みながら耐えていたが、最後に力尽き、2大会連続のベスト8とはならなかった。
市原は20分弱の出場で1ゴール、1アシストと起用に応える活躍。「ずっと出られる準備はしていた。1、2回戦は何もあまりできていなかったので、ここでチームを救えたかなと」と喜ぶ。山本昌輝監督も「「お前が決めてこい」と送り出して、その通りに仕事をしてくれた」と労った。
また、守備も序盤押し込まれた中でしっかりと耐え、後半の2得点に繋げた。DF楫野蒼太郎(3年)は「フォワードに当てて落として、その裏っていう、一発があると思っていたので、そこは絶対に抑えようというのでそこはできたのでよかった」と話す。今季はS1リーグを戦う中で前期は最後の部分で耐えきれず失点したり、逆転負けというパターンが多かったというが、失点に繋がっていたクロスやロングボールへの守備をこの夏徹底し、後期は勝ち点を積み上げている。
これで2020年以来、3年ぶりのベスト8進出。対戦相手は前回と同じ正智深谷となった。今季はリーグ戦で2敗、関東予選でも2回戦で当たって敗れているが、市原主将は「リーグ戦の後期の戦いは結構張り合えていたと思う。リベンジしたい」と意気込みを語った。同じ相手に4度は負けられない。リベンジを果たし、2019年に記録したチームベストの4強にまずは並び立つ。
石黒登(取材・文)
試合結果
聖望学園 2-0 川越東
0(前半)0
2(後半)0