花咲徳栄が昌平との激闘制し、3連覇&埼玉3冠達成! 現レギュレーション最後の関東大会で5年ぶりの全国目指す

令和5年度高校女子サッカー選手権大会の決勝が24日に埼玉スタジアム第3グラウンドで行われ、花咲徳栄と昌平が激突。延長戦で2ゴールを挙げた花咲徳栄が2-0で勝利し大会3連覇&今季3冠を飾った。両校は全国大会に繋がる「関東高校女子サッカー選手権大会」に出場する。

今年は新人大会、学校総体でも決勝で当たるなど、県の高校女子サッカーを牽引してきた両チームは今大会も強さを見せてファイナルに進出。そして今季3度目の対決もやはり激闘となった。

立ち上がりから仕掛けたのは初優勝を狙う昌平だ。この日は前日プレミアリーグを戦った男子サッカー部の大応援団も駆けつけた中で、中盤で小気味よくボールを繋ぎながらFW新垣杏奈(3年)や2列目の荒牧莉子(2年)、金澤道(2年)、勝山あゆみ(1年)がドリブルで仕掛け。右サイドではサイドバックの森居杏桜(2年)がオーバーラップを繰り返してチャンスを作った。

花咲徳栄は相手の強みである中央でのパスワークやドリブル突破への対策として、攻撃の核であるMF井上らら(2年)を1列下のボランチで起用。ヘディングの強さのあるMF山本莉音(2年)とのダブルボランチでチャレンジ&カバーやプレスバックの意識を持ちながら対応する。また、最終局面ではGK長谷川実乃里(2年)が出足の速さを見せてシュートを防いだ。

昌平は後半3分、右サイドからの展開から新垣のシュートがクロスバーを叩く。一方の花咲徳栄も井上を「一番持ち味の出せる」(監督)左サイドハーフに移すと、切れ味鋭い突破から何度もゴール前にドライブ。15分には井上が仕掛けからループシュート。これは相手キーパーの好守に阻まれたが、そこで得たコーナーキックの流れからPKを獲得する。しかし、MF正木佑奈(3年)のシュートはGKロブソン莉彩那(1年)がファインセーブし、ここでも均衡は破れない。

26分には昌平にチャンス。縦パスに抜け出した荒牧が決定的なシーンを迎えたが、ここも長谷川が一歩目を早く寄せてストップする。逆に花咲徳栄はその直後、中盤でボールを持った井上がターンからロングシュートで狙ったが、これはクロスバーに弾かれた。試合が流れ始めた後半は互いにチャンスを作りながら、決めきれず。スコアレスのまま、今大会初の延長戦に突入した。

それでもゲームが動いたのは延長前半1分だ。花咲徳栄は敵陣右中間でフリーキックを獲得すると、正木の良質なキックからDF橋本琴音(3年)が首を振りながら頭でネットに運んだ。「マークがついていたんですけど、そこがひとつ剥がれて、自分がフリーになった時にそこに良いボールが来たのであとはもう合わせるだけだった。正木が良いボールを蹴ってくれた」(橋本)。

今季ダブルキャプテンを務める橋本と正木の息のあったプレーで均衡を破ると、延長後半8分にはコーナーキックのこぼれ球をMF森田琉佳(3年)が右足でジャンピングボレー。これが相手のオウンゴールを誘い、加点した。終盤も長谷川が集中した守りを見せるなど無失点で抑え、2-0で勝利。花咲徳栄が平成31年(令和元年)以来となる3冠と県内タイトルを独占した。

今年は例年以上に上位の差が詰まっていた印象の中でのトレブル達成。末貴光監督は「3年生を中心にトレーニングから真面目に一生懸命やっている、その真面目な頑張りの成果としか言いようがない。本当にベスト8くらいからはどこが勝ってもおかしくなかった。キャプテンを中心にみんなでひとつの方向を向いてやった結果かなと思います」と3年生たちの頑張りを讃える。

この日はFW工藤千愛やMF池端春乃も含め前線の4枚のユニットはすべて3年生でスタート。延長戦の2得点はその頑張り続けた3年生たちが挙げたというのは決して偶然ではないはずだ。

埼玉1位で臨む関東大会。来年以降はレギュレーションが変わり、原則各県の1位が男子と同じく全国への切符を掴むシステムとなるだけに現状での関東大会はラストとなる。昨年はあと1勝と迫りながら届かず、ここ3年は関東での足踏みが続いているだけに最後となる同大会で5年ぶりの全国大会出場を果たしたいところ。守護神の長谷川は「このチームで全国大会に行きたいとみんなが思っている。相手がどこでもちゃんと2回勝って全国に行きたい」と意気込んだ。

石黒登(取材・文)

試合結果

花咲徳栄 1-0 昌平
0(前半)0
0(後半)0
1(延前)0
1(延後)0