時にぶつかり合いながら、支え合い成長 創部5年目の春日部南中が初の県大会で16強進出!

令和5年度学校総合体育大会県大会2回戦(22日、川越陸上競技場ほか)。春日部南中と上尾大谷中の一戦は終盤に追いついた春日部南がPK戦の末に逆転勝ちし、ベスト16に進出した。

先に失点したが、諦めることなく最後まで戦い、粘り強く勝利をものにした。試合は前半12分に上尾大谷中が先制。春日部南はその後も押し込まれる時間が長かったが、加藤翔太郎(3年)、渡辺知生(3年)のCBコンビを中心に跳ね返し続け、勝負を決める2点目は与えなかった。

後半も足を止めることなく走り続け、20分過ぎあたりからはチームの心臓であるMF伊藤瞬(3年)の展開から10番のFW後藤廉(3年)が抜け出すなど好機も。すると終了間際の33分だ。

左CKを獲得すると、キッカーの伊藤は「ファーにエースの後藤くんが見えていて、もうあそこに蹴るしかないなと思って」と信頼を持ってファーへ。後藤も「もう目で合わせて、絶対に来るなと思ってそこに行った。絶対に決めるという気持ちがあったので、綺麗に頭で合わせられてめっちゃ嬉しかったです!」とドンピシャのヘディングで流し込み、土壇場で同点に追いついた。

「PKになったら(勝率は)5割は超えるなと思っていた」(関口健監督)。地区予選では2戦連続のPK勝ちで出場権獲得。その2試合ともでGK比嘉乃英琉(3年)が2本ずつ止めていた。

「本当に自信を持って、みんなのために止めてやるぞみたいな、そんな感じでした」(比嘉)。

身長は大きくはないが、柔術やレスリング、ボクシングなど、格闘技をやっていた経験から来る反射神経や身体の使い方に自信を持つGKは、相手がボールを置く時に手で置くのか、足で置くのか、軸足の向き、胸の開き方など、これまでの経験で得たデータも合わせ相手の2本目を完全に読み切って止めてセーブ。上尾大谷は続く3本目を外したのに対し、春日部南は伊藤、主将のMF小林優斗(3年)、後藤、渡辺が全員成功させて見せ、劇的逆転での16強進出を決めた。

春日部南は学校再編に伴い、2019年に開校した新設校で、サッカー部もスタートとともに創部。5年目で初出場した県大会でベスト16に到達した。今年の代は経験者も多く、期待の代だった。

互いに求め合うからこそ、ぶつかり合うこともあった。小林優は「本当に喧嘩した時期とか、もめた時期もあったんですけど、全員で声を掛け合って、支え合ってできたので、今回ここまで勝ち上がれたのかなと思います」と話す。この日も引水時に言い合うこともあったというが、その当事者だった後藤が同点弾を決めた後、駆け寄ったのが言い争った比嘉だったというところに絆の深さを感じさせた。伊藤も「この仲間で勝てたのはすごい良かった」と語り、笑顔を見せた。

石黒登(取材・文)

試合結果

上尾大谷 1(1PK4)1 春日部南
1(前半)0
0(後半)1
1(PK)4