スタイル発揮し、中央突破から同点弾 尾間木中がライバル南浦和中をPK戦の末に下して冬季大会のリベンジ! さいたま市覇者として2冠のかかる学総へ

市大会を制し、いざ県2冠を狙う学総へ―。さいたま市学校総合体育大会の決勝が8日に浦和駒場スタジアムで行われ、新人戦覇者の尾間木中がPK戦の末に南浦和中を下し、優勝を飾った。

先手を取ったのは南浦和だった。前半23分、FW石田悠友(3年)がゴール前で収めてシュート。これはブロックにあったが、こぼれ球をFW大内隆之介(3年)が沈めて均衡を破った。

南浦和はMF矢野天翔(3年)がこの日も跳ね返す力を発揮。10番のMF中川璃玖士(3年)がドリブルで運び出しながらチャンスを作り、前半はシュート本数でも相手を上回った。後ろも上での戦いを見据えつつ、FWからCBにコンバートした今平啓太(3年)が相手のキーマンをしっかりと見ながら守備。また、GK小林栄太(3年)が好反応を見せてピンチを防いでいた。

「こっちとしては相手の真ん中を割っていくことをしたい。でも、スタートの入りのところは南浦和のエネルギーのあるプレーに圧倒されてしまうところが多かった」(尾間木・髙橋淳監督)。

尾間木が伝統とする中央突破。前半もそういうプレーがなかったわけではなかったが、相手の競り合いや空中戦の強さを前になかなか自分たちのプレーを出し切ることができなかった。それでも後半は「もっと自分たちらしく、尾間木らしくやっていかなきゃというのを先生からも言われてそこからちゃんと意識して臨みました」(加藤)というように中央突破からチャンスを作る。

すると9分だ。途中出場のMF小澤陸(3年)とのコンビネーションからエリア前でボールを持ったMF加藤大瑚(3年)が得意のドリブルで前進。スルスルと相手DFの間を割っていくと、「(DFの)股が空いていたのでそこを狙った」とさらに3人目を交わし、最後は左足で決めた。

その後も尾間木はスルーパスから10番MF川口寛人(3年)やFW腰原煌樹(3年)が中央を抜け出し追加点を狙う。一方、南浦和も中川を起点にゴールに迫る。延長前半4分にはセンターサークル付近でボールを持った中川が果敢に運び、左足で放ったシュートはわずかに枠の左に。後半、延長戦はお互いの見せ場を潰しつつ、一瞬のチャンスを見逃さないという高い集中力の中でどちらが取ってもおかしくない展開となったが、結局ネットは揺れず、PK戦にもつれ込んだ。

PK戦は両軍GKが2度手に当てながらも5人目までが全員成功しサドンデスへ。その6人目、先行の南浦和がポストに当てて失敗し、後攻の尾間木が決めて同地区のライバル対決を制した。

尾間木は準決勝の埼玉朝鮮中戦で、正GKの佐々木速(3年)が左手小指を骨折するアクシデント。2週後に初戦を迎える県大会で万全を期すために、決勝は亀田悠斗(2年)が公式戦では初のスタメンに入った。その亀田は前半相手の決定機をストップしたほか、その後もDFと連携しながら最少失点に抑え、見事なリリーフ。髙橋監督も「よく頑張りました」と合格点を与えた。

冬季大会では決勝で南浦和に0-3と完敗したが、「そこで彼らの中でこういうところが負けていたというのを、能力的なものだけじゃなく、気持ちの面も含めていろいろ挙げていた」という。

プレー面ではヘディングや1対1の対人を意識して取り組み。再戦となった今回は成長を確かめる場として臨み、粘り強く戦い勝ちをものにした。しかし一方で「最後はPK戦。これ(カップ)をどっちが持ち帰るかだけの決め方なだけで、試合的には引き分けで勝ち切ったわけではないので、7月の終わりに当たった時にはしっかり勝てるようにしたい」。県大会は尾間木が第1シード、南浦和が第4シードとなり、お互いに勝ち上がれば関東懸けの準決勝で再度対決する。

髙橋監督は「南浦和が関東、全国と最近は行ってますけど、尾間木中はその昔は連続で神立(朋次/現南浦和監督)先生の時は行っていたのでそこに行きたい。あとは必ず南浦和が上がってくるとは限らないんですけども、関東決めの決定戦のところで当たるとしたら当たるので、自分の中学校の時の恩師と、清野(大輔/南浦和コーチ)とは中学校の時3年間やっていたので、いつも良いところで最後やられちゃうんですけど、今回はしっかりと勝てれば」と意気込みを語った。

石黒登(取材・文)

試合結果

尾間木 1(6PK5)1 南浦和
0(前半)1
1(後半)0
0(延前)0
0(延後)0
6(PK)5