今年もトーナメントをかき回すか!? 新たなブレーンを加え、浦和北は“ダブルA級”体制でさらなる躍進へ
新たなブレーンを加え、さらなる躍進へ。令和5年度高校総体南部支部予選ブロック代表決定戦が6日に川口市立高ほかで行われ、浦和北は1-0で上尾鷹の台を下し、県大会出場を決めた。
浦和北は前半3分、右CKの折り返しをDF佐藤駿(3年)主将が蹴り込んで先制。幸先の良いスタートを切ったように見えたが、早すぎるゴールが試合を難しくしてしまった部分もあった。
その後も10番のMF宮田海(3年)を中心にボールを持って進めたが、「サイドでボールを持ったりしても、なかならテンポが上がらなくて、クロスまで上がらないで取られてしまったり、進まなかった」(宮田)というように、なかなかその勢いをゴールに結びつけることができない。
上尾鷹の台は全体でハードワークしながら粘り強い守備。最後のところでは金子遥斗、加藤颯(ともに3年)のCBコンビがやらせなかった。浦和北は後半25分、FW小林壱成(3年)がゴールキーパーを外し右足で狙ったが、これもライン上で掻き出されゴールとはならなかった。
結局、14本のシュートを打ったが、追加点は奪えず。古市元喜監督は「元々うまいチームじゃないし、去年の子たちとはまだそこは差がある。実際、今年は新人戦もU-18も勝てていない。去年から出ていたのは途中出場で出ていたひとりで、経験値もない。ただ、自分たちが一番わかっているんじゃないですかね。雑草として、原点からやっていかなきゃダメ」と兜の緒を締めた。
浦和北は今年から新たなブレーンが加わった。谷内謙介コーチは伊奈学園の出身で、2001年度のみやぎ国体では埼玉選抜の主将として日本一を経験(静岡との同時優勝)。順天堂大卒業後は水戸ホーリーホック、サガン鳥栖を経て、SAGAWA SHIGA FCでプロサッカー選手として6年間活躍。2012年に現役引退した後は八潮南で7年間勤め上げ、この4月から浦和北に赴任した。
2021年には古市監督と同じタイミングで、アマチュアトップレベルのA級ジェネラルライセンスを取得。今年はU-13県トレセンのリードコーチも務めながら、“ダブルA級”体制で臨む。
「新しい風が入ってきて、そこの雰囲気作りとかは非常に良くしてくれている。一緒の年にA級を取ったというのもあるし、彼は私よりも選手として経験があるし、そういう意味では俺も勉強になることがある」。試合後は2人でフォーメーションボードをにらみながら話し合っていた。
「浦和の勢力図を塗り替える」を合言葉に2019年に古市監督が赴任し、昨年は選手権予選でS1の市立浦和を下したことは大きな話題となった。今年も中体連出身選手が中心で「スーパースターはいない」が、「真面目」だというチームは、その真面目さとひたむきさで成長を重ね、先輩越えを目指す。その上で指揮官は「また、古市のチームかと。(相手チームにとって)何があるかわからない、ちょっとめんどくさいなっていうチームを作っていきたい。めんどくさいっていうのは私からしたら最高の褒め言葉」と不敵に笑った。新しいブレーンを加え、ダブルA級体制で臨む1年。今年も浦和北が良い意味でトーナメントをかき回す展開となれば面白い。
石黒登(取材・文)
試合結果
浦和北 1-0 上尾鷹の台
1(前半)0
0(後半)0