昌平MF篠田翼、兄・大輝の見守る前「思い入れのある」NACK5で先制弾! 中心選手として自身2度目の全国へ

やはりNACK5では“持っていた”。昌平のU-17日本高校選抜MF篠田翼(3年)は成徳深谷とのインターハイ予選決勝戦(2-1○)で持ち味発揮して先制弾をゲット。「去年の大会では自分は全然ゴールを取ってなくて、チームを勝たせられなかったので、今年は自分のゴールで、自分がチームを勝たせられるようにという想いでやってきた」といい、ゴール後には笑顔が弾けた。

前半18分、敵陣中央でボールを持った篠田は持ち味である推進力を生かしたドリブルでエリア前まで前進。そこからボールを受けたMF荒井悠汰(3年)はカットインからシュートを狙うもDFのブロックに遭うが、そのこぼれ球に反応したのは攻撃の起点となった背番号11だった。

「正直決めた時は本当になんか夢みたいで、そんなに覚えているわけじゃないんですけど、でもボールが転がった時に打てると思って、スライディングで振ったら入って嬉しかったです」

ボールに食らいつくと、豪快な右足のスライディングシュートで決め、特大のガッツポーズを見せた。今大会は初戦の3回戦・浦和東戦でゴールがあったものの、準々決勝、準決勝はノーゴール。準決勝の武蔵越生戦はシュートを打つ回数も多かっただけに、「今回はもう絶対に点を取るという想いがあった」。ゴール後には自陣のベンチ前で藤島崇之監督とハイタッチ。「「ナイス!」と。本当にずっと点だ、点だと監督からも言われていたので取れて良かったです」と喜んだ。

篠田にとって決勝が行われたNACK5スタジアム大宮は思い出深い舞台。1年時だった2020年12月31日に行われた全国高校サッカー選手権大会1回戦の対高川学園(山口)戦。昌平は終盤まで相手に2点をリードされるなど絶体絶命のピンチだったが、後半ATに決めた篠田のゴールが皮切りとなり、その後ラストワンプレーで追いつき、PK戦の末に劇的な勝利をものにした。

「お父さんにもNACKは持っているみたいな話をされていて、自分の中でもNACKは結構思い入れがあった」。この日は父は来られなかったものの、母と高川学園戦でアベック弾を決めた兄の大輝(日体大1年)の前で「良いところを見せられた」。昨年、主将を務めた兄からは「頑張れよと。全国に出ろよと言われていた」中で、兄の想いも背負ってこの舞台に臨み全国を決めた。

自身2度目の全国大会へー。前回はスーパーサブとしてだったが、今回はチームの中心として迎える。この2年で大きく状況を変え、昨年はU-16日本代表候補にも選出、今年はU-17日本高校選抜としてもプレーするなど、成長して挑む。「主力として出る全国大会が始めてなので、ここで結果を出したい。昌平の歴史を塗り替えて、全国制覇を目指して頑張りたい」と力を込めた。

石黒登(取材・文)