大宮U15は“初”の全国で4強進出 U18チームも発足、「あと一歩」を次への成長の糧へ
高円宮妃杯JFA第27回全日本U-15女子サッカー選手権大会の準決勝が12月25日、AGFフィールドで行われ、大宮アルディージャVENTUS U15(関東9)はJFAアカデミー福島(東海2/千葉)と対戦。スコアレスからのPK戦の末に2-3で敗れ、ベスト4で大会を終えた。
ファイナル進出はならずも、初の全国で堂々の4強入り――。今年4月に就任した小林凜監督は「自分たちはチャレンジャーという立場でJFAアカデミー福島さんに挑ませていただいて、本当に個人のところから、チームから、やっぱり相手の方がすごく上回る部分が多かった試合だったんですけど、そこでうちの選手たちがここまでの勝ち上がりと同様に粘り強く、守備から頑張ってくれて、その中でチャンスもいくつか作って、結果はちょっと残念でしたけど、ここまで勝ち上がってきて、本当に選手たちの頑張りに感謝したいなと思います」と選手たちを讃えていた。
前半から相手にボールを握られたが、粘り強く守り決定機は与えなかった。FW茂木未宙(3年)主将、FW飯田かれん(3年)の2トップが前からプレスをかけ、相手の揺さぶりにもしっかりとスライドしながら対応。MF渡辺夕那(3年)が中盤の広いスペースをカバーし、最後の部分ではDF長谷川和花(3年)、DF佐々木絵菜(2年)のCBコンビが跳ね返し続けた。また、中3ながらすでにトップチーム登録されている守護神の寺本唯香も安定感を持ってプレーした。
小林監督も「1年間を通して、守備で意図的に、前向きに、ボールを奪うというところを意識してやってきて、それがどこまで通用するかというところで、本当にうまくできた部分がたくさんあったので、そこは本当に1年間の積み重ねが出たシーンが多かったなと思います」と話す。
後半は耐えつつ、前半にはなかった前に出る場面も。国体にも出場したエースの茂木は、ボールを持てば相手の逆を取るドリブルで侵入。28分には攻撃的左SBの大井みのり(2年)がDFのクリアミスに追いつき、シュートを狙ったが、ここは相手GKのセーブに防がれてしまった。
試合はスコアレスのままPK戦へ。大宮は寺本が相手の2本目を止めて流れを掴みかけたが、2、3、4人目のキッカーが連続して失敗したのが痛かった。逆に福島は先に2本失敗したものの、3本目以降を江南南サッカー少年団出身のMF福島望愛(2年)を含む全員が成功させた。
それでも4強進出は大健闘だ。大宮アルディージャVENTUS の下部組織として、FC十文字VENTUS U-15の流れをくむ形で昨年度からスタート。2年目となった今年は県大会で優勝し、関東大会では関東リーグ所属のノジマステラ神奈川相模原アヴェニーレを下して8強に入り“初”の全国大会出場を決めた。今大会でも快進撃を見せ、準々決勝ではアカデミー4冠を狙ったセレッソ大阪堺ガールズU-15を茂木の3試合連続弾で1-0で下し、東京ラウンドに進出した。
「全国出場が決まってから、チームの目標としては関東に帰ってきて、試合をしたいというところが1番の目標でやってきて、それを達成することができた。今日も少しでもこのチームで長く試合をして、もっとすごい次の景色が見られたらいいねという話をしてゲームに入って、それを目指す中で、たくさん成長してくれて、選手たちもそれを感じているんじゃないかなと思います」
来年度からはU18チームも発足。今年の3年生はその一期生となる。「ここまで来られたことで努力が報われたというところもあると思いますし、ただ一歩届かなかったところで、この経験がまた次の成長の糧に繋がるんじゃないかと思うので、本当に良い大会を過ごさせてもらいました」と小林監督は未来を見据える。U18に昇格する茂木は「味方を鼓舞する声だったり、そういうのがまだ足りていないので鼓舞できるように、苦しい時こそ声を出せる選手になりたい。ユースでまたこんな良い大会に出られたら、今度は優勝を目指して頑張りたい」と意気込みを語った。
石黒登(取材・文)
試合結果
大宮アルディージャVENTUS U15 0(2PK3)0 JFAアカデミー福島
0(前半)0
0(後半)0
2(PK)3