個の強さを見せるも得点機生かせず、浦和LJYは2年連続のベスト4敗退 この経験を成長へ

高円宮妃杯JFA第27回全日本U-15女子サッカー選手権大会の準決勝が12月26日、AGFフィールドで行われ、三菱重工浦和レッズレディースジュニアユース(関東1)はジェフユナイテッド市原・千葉レディースU-15(関東8/千葉)と対戦。0-1で敗れ、ベスト4に終わった。

浦和は開始からボールを動かし、失っても切り替えの早い守備ですぐに奪い返すなど、相手コートで展開。攻撃では右SH熊田姫依(3年)主将、MF辻あみる(3年)のU-15日本女子代表コンビが牽引した。前半10分には熊田のラストパスから辻のシュートがクロスバーを強襲した。

しかし、29分、一瞬のエアポケットのような時間を突かれて、カウンターから失点してしまう。ジェフにとってはこれが前半唯一のシュートだった。前半のうちに追いつきたい浦和は39分、MF平川陽菜(2年)の右CKからDF松家ゆり(3年)のヘディングがわずかに上に外れた。

後半も押し込んでプレーしたが、1点を守るべく自陣に引いた相手を崩しきることができない。終盤にはU-15代表で、春まではFWだったCB伊勢はな(3年)を最前線に出し猛攻に出る。39分、44分には辻が決定機を迎えたが、最後までゴールネットを揺らすことはできなかった。

百武江梨監督は「リーグで何度も対戦している相手だったのでやりやすさも、やりにくさもお互いあったと思う。その中で得点チャンスがありながら、なかなか決めきられなかった」と悔やむ。

昨年も4強で涙を呑んだが、今年は熊田、辻、伊勢の代表トリオや中盤で上手さと強さを見せていたMF中野杏奈(3年)、平川、MF髙橋佑奈(2年)とスタメンの半分が昨年の経験者。熊田は「今年こそは優勝という気持ちを全員が持った中で練習に取り組んでいて、パスの質を上げたり、パスのコンビネーションとか、そういうところをやってきました」と話す。ショートパスのコンビネーションやワンタッチパスで剥がしてゴール前に侵入していくなど、個々の能力では準決勝進出の4チームではひとつ抜けていた印象があっただけに、ゴールだけが足りなかった。

百武監督にとっては2019年に就任し、今年の3年生はセレクション時から見ている学年なだけに思い入れも強かった代。「楽しい時と辛い時と、両方の場面で、本当に素直に明るく育ってくれた選手たちだったので、最後優勝カップを掲げさせてあげたかったです」と悔しさを見せた。

中学年代での戦いはここで一区切りを迎えたが、この悔しさを次の高校年代での成長に繋げる。

「これが最後ではない。むしろこれからの方がより大事になってくる中で1本シュートを決めるとか1本シュートを止めるとか、この経験を通じて成長してくれれば。それがすべてです。こういった悔しい経験があって、その先成長してくれるのであれば、それも選手にとってプラスになるのかなと思いますし、プラスになるように私たち指導者がサポートしていきたい。ここで優勝できなかったことは悔しいですけれども、この先をすごく楽しみにしています」(百武監督)

ユースに上がる熊田は「いままでボランチだったんですけど、点を取れるポジションに行ったので、もっと自分で点を取るというところを伸ばしていきたい」とこの経験を糧に成長を誓った。

石黒登(取材・文)

試合結果

三菱重工浦和レッズレディースジュニアユース 0-1 ジェフユナイテッド市原・千葉レディースU-15
0(前半)1
0(後半)0