昌平Ⅱが正智深谷との天王山を制し首位に浮上! 最終節は「今年一番」の内容でリーグ制覇誓う

26日、高円宮杯JFA U-18埼玉県S1リーグ(県1部)第17節が行われ、優勝を争う昌平Ⅱと正智深谷が激突。終盤に得点した昌平Ⅱが勝ち点3を獲得し、最終節を前に首位に浮上した。

試合前の段階で残り2節を残し、正智深谷が勝ち点32でトップ、昌平Ⅱが1ポイント差の同31の2位で迎えた天王山。正智深谷は勝てば優勝を決められる状況にあり、注目の一戦となった。

前半から強度の高いプレスをかけてくる正智深谷に対し、昌平Ⅱはペナルティエリア前のギャップでボールを受けつつ、流動的にポジションを動かしながら右SHの上野旭陽(3年)、左SHの西嶋大翔(2年)がドリブルで侵入。FW平叶大(2年)も積極的に抜け出しを狙っていった。

正智深谷は前半29分、MF大石桔平(2年)のクロス性のシュートがクロスバーにヒットする場面も。終盤にかけては昌平の猛攻に遭ったものの、守護神の望月奎杜(2年)がクロスやハイボールに安定感を持って対応。DF小屋結世(3年)主将を欠く中、全員がよくハードワークしながら最終ラインではCB岩崎佑規(3年)を中心に粘り強く守り、0でハーフタイムを迎えた。

すると後半に入りギアを一段上げる。前の4枚にこの日キャプテンマークを巻いたMF初雁龍(3年)を含めたハードプレスを慣行。この戦い方がハマり、立ち上がりは正智深谷が押し返す。

流れを引き寄せたい昌平Ⅱは23分、10番FW伊藤風河(3年)、怪我明けのU-17日本代表FW小田晄平(2年)、U-16日本代表候補MF鈴木宏幸(1年)と一気に3枚替えで勝負に出る。

終盤は互いにチャンス。正智深谷は34分、一瞬の隙を突いた縦パスにFW横堀翔(3年)が抜け出すもシュートはうまくヒットせず。昌平は35分に伊藤がオーバーヘッドで、39分にはMF田尻匡平(3年)主将がパンチ力のあるミドルシュートでゴールに迫ったが、いずれも望月の好セーブに阻まれる。正智深谷は41分、FW伊比瞳弥(3年)のポストプレーからMF岡大輝(3年)のシュートが枠を捉えたが、ここは昌平GK葛西天河(3年)がファインセーブで防いだ。

すると試合が動いたのは44分だ。昌平Ⅱは左クロスを鈴木がヘディング。ゴール前の混戦を伊藤が詰めてこれが決勝点となった。伊藤は「自分はああいう時間帯で使ってもらえることが多い。夏は全然点が決められなかったんですけど、だんだん決められるようになってきて、今日も監督から「点頼むよ」と言われていた。ゴールは気持ちで押し込んだ」と殊勲のゴールを振り返った。

これで昌平Ⅱは正智深谷をかわし、首位に浮上。まだ最終節(昌平Ⅱは市立浦和と、正智深谷は成徳深谷との深谷ダービー)の戦いが残っているものの、県1部リーグ制覇に王手をかけた。

昌平Ⅱを任される日野口廉コーチは「前期はこういう厳しいゲームをものにできない部分はあった中、逆にこういう(優勝争いが)かかった試合をものにできたということは、このシーズンを通して間違いなくチームとして成長しているというのは、なかなか昌平っぽさも出なかったゲームですけど、手ごたえは感じています」と難しい一戦を制したことに一定の手ごたえを示す。

主将を務める田尻匡は「前期引き分けていて(2-2△)、順位も勝ち点1差というところで、これに勝ったらひっくり返って、優勝に近づくというのは前回の成徳深谷戦から話していた。最後ああいう形で押し込めたというのも、気持ちが相手よりも強かったのかなと思います」と語る。また、「スタメン組が埼玉を取れて、サブ組が埼玉を取れないのは自分たちも悔しいですし、スタメン組との差を埋めたり、自分たちのチャンスを求めるということも含めて絶対埼玉取りたい気持ちがあった。全体でそういう気持ちはひとつになっていたと思います」と想いを明かした。

もちろん課題も見えた試合であり、「もう少し技術だったり、チームワーク、ペナ付近のクオリティーは上げていかなきゃいけない。良い部分を次の戦いに向けて磨きながら、ダメだった部分を改善して克服しながら、「本当にラスト一戦、一番良い試合をしたい」」と日野口コーチ。田尻主将も「もう最終節は今年一番のゲーム内容で、自分たちの良さ出せればスコアもついてくると思うので、最後自分たちの良さを前面に出して、昌平らしいサッカーで勝ちたい」と意気込んだ。

石黒登(取材・文)

試合結果

昌平Ⅱ 1-0 正智深谷
0(前半)0
1(後半)0