「優勝決定戦をやらせてほしい」3年生が直訴、正智深谷が最終節逆転で3rdリーグ初制覇!

今年度の3rdチャレンジリーグを制したのは、3年生たちが気持ちを見せた正智深谷だった。

5日に行われた1位・細田学園と2位・正智深谷の直接対決。両チームは同じく勝ち点20で最終節へ。得失点差で上回る細田学園は引き分け以上で、正智深谷は勝利が優勝への条件だった。

正智深谷が試合前、繰り返していたのが「俺たちは弱者」という言葉だ。キャプテンのMF内田行哉(3年)は説明する。「自分たちが強者になったり、強気になってしまうと、守備が緩くなったり、パス精度が悪くなる。決して強者にはならず、弱者に徹して謙虚な心を持ってやるというのがチームの目標。この試合も謙虚の心を持って、最後まで全員で追うことを意識しました」。

そしてその言葉を体現した90分だった。前半3分、FW片桐夕樺(3年)のシュートのこぼれ球を内田が詰めて先制。ボールを握られる時間も多かったが、「うちの良さは良い守備からの良い攻撃。前4枚の子たちは技術がある方ではないんですけど、積極的にプレスをかけられる子たちで、そこからショートカウンターというふうに、ひとつ形にはなっていたかなと思います」と清水和哉コーチが話したように、前からのプレッシングもハマり、相手の自由にはさせなかった。

守備でリズムを作ると、後半はゴールラッシュを見せる。6分、FW川邉岳空(3年)の仕掛けを起点に、最後は内田がゴール右上隅にコントロールシュートを決めて追加点。14分には片桐の縦パスに抜け出したMF樋口京波(3年)が沈めてリードを広げる。1点を失った後の38分にはMF稲垣魁璃(3年)のラストパスをMF渡辺亜冴飛(3年)が流し込むなど、途中出場組も結果。後半は2失点を喫したものの、4-2と逃げ切り、逆転でのリーグ初制覇を果たした。

タイトル獲得に繋がったのは3年生たちの強い想いだ。正智深谷はトップチームが選手権予選2回戦で浦和学院に敗退したこともあり、3rdリーグを戦うCチームの3年生は翌日行われた浦和東戦(2-0○)後に引退が告げられ、本来であれば最終節は2年生が出場する予定だった。

それでもキャプテンの内田を中心に再びひとつにまとまり、「優勝決定戦をやらせてほしい」と最終戦への出場を直訴。これには3rdを率いる若松徹郎コーチ、小島時和監督も喜んだのは想像に難くない。最初は3、4人だったという中で最終的には26人の3年生が最終節まで残った。

また、この試合にはMF外立翼、MF初雁龍、MF小川陽向、DF守屋隼希、DF浜田岳駆、DF宮﨑建吾と、トップチームの3年生たちも応援に。カテゴリー関係なく、「まとまり」は今年の3年生たちの特徴で、清水コーチは「AとBで割れてしまう年もあったりするんですけど、今年はどんな立場であっても正智のためにひとりひとりが役割を果たしてくれた学年」と話した。

今度は自分たちが応援する番だ。樋口は「自分たちも優勝を決めたので、S1も最後優勝を決めて、プリンスに上げてほしい。次は応援に回って、サポートできたら」と全力応援を誓った。

石黒登(取材・文)

試合結果

正智深谷 4-2 細田学園
2(前半)0
2(後半)2