攻守で狙いとしてきた形が出た川口青陵が3大会ぶりのベスト30!「自信になるゲーム」
第101回全国高校サッカー選手権県予選・1回戦(9日)。川口青陵と慶應志木の一戦は2-1で川口青陵が勝利を収めた。川口青陵は15日の2回戦で総体予選8強の狭山ヶ丘と対戦する。
難しい時期を乗り越えて、攻守で狙いとしてきた形を発揮して勝利。川口青陵・松浦國拡監督は「守備のゲームになった中でしっかりと守れたから、攻撃のところで良い得点ができたかなというのはあったので、すごく選手たちにも自信になるゲームかなと思います」と満足度を示した。
試合はいきなり動いた。前半2分、川口青陵は「パンチ力がある」MF小出陽斗(3年)がエリア外から右足を強振。相手の意表を突く豪快なミドルシュートを叩き込んで先制した。8分には10番FW石橋拓海(3年)のクロスからMF斉藤一心(3年)がヘディングでゴールに迫った。
一方、慶應志木も序盤はバタついたものの、徐々にボールを握る時間を増やす。中盤でボールを繋ぎ、MF金井謙(2年)が組み立て、MF市川紘希(3年)主将の左サイドから攻撃を試みた。
川口青陵は中盤以降、押し込まれる時間が増えたが、ここで見せたのが守備のクオリティー。「セットに入って、スライドをしっかりしていくことを徹底して、押し込まれても、とにかく外に追い出す、追い出す、追い出すで、シュートを打たせる状況には持って行かせない。ボールを取りに行くというよりはしっかり守る」ことを徹底し、相手に決定的なシーンは作らせなかった。
守備でリズムを作ると、追加点は37分。右サイドにボールを集めると、クロスからMF小林悠真(3年)の折り返しを、小出が左足のハーフボレーで沈めた。「サイドにボールを集めて、逆ポケットを取りに行くのがうちのサッカーで醍醐味」。まさに練習してきた形が出た1点だった。
慶應志木は後半38分、途中出場のFW西原世央(2年)が決めて1点を返したが、反撃もここまで。川口青陵は「今日は2センターじゃないですか」と監督のいう中村優心(3年)、石井良弥(3年)の2枚が強度の高い守備でディフェンスラインを牽引。また、石橋が前から精力的に牽制をかけ、簡単に良いボールを上げさせなかったことも大きく後半はシュート2本に抑えた。
3年ぶりの1回戦突破を果たした川口青陵だが、「本当にうまくいかない時の方が多かった」と松浦監督がいうようにこの1ヶ月半は難しい時期を過ごした。9月の始めには新型コロナによる学級閉鎖と学年閉鎖が重なり10日間の活動停止。活動再開後はすぐにリーグ戦に突入した中で浦和北に1-2、川口北に1-1と、なかなかチーム状況は上がってきていなかったという。
その中でここ一番で攻守ともに狙いとしてきた形が出たというのは勝利とともに大きな成果だ。
2回戦の相手は総体予選8強の狭山ヶ丘。「個の能力で言ったら向こうの方が上なので、うちはポジショニングや立ち位置、噛み合わせで勝負していく。自分たちのサッカーをやりながら、相手の立ち位置と、自分のたちの位置の噛み合わせで勝負していこうかなと思います」。難しい時期を乗り越えて掴んだ勝利。この日の勝利を自信に変えて、ひとつずつ勝ち上がり人生を変える。
石黒登(取材・文)
試合結果
慶應志木 1-2 川口青陵
0(前半)2
1(後半)0