全国高校サッカー選手権埼玉県2次予選1回戦 成徳深谷 vs 県立浦和

選手権2次トーナメント1回戦が14日に行われた。伊奈学園高校グラウンド第2試合は成徳深谷高校と県立浦和高校が対戦。試合は前半14分にMF佐藤蒼太が先制点を決めた成徳深谷が1点を守りきって1ー0で勝利し、選手権2次予選では3年ぶりの2回戦進出を決めた。

ピッチコンディションが悪い中「入りは相手の頭を越してひっくり返させるということを意識した」(DF井上連)という成徳深谷。ペナルティーエリア横の通称“チャレンジボックス”を狙い立ち上がりから仕掛けていくと、練習を重ねてきたセットプレーからゲームを動かした。

先制点は前半14分、右コーナーキックを獲得するとMF坂本聖真のキックはカーブを描きながらゴールへ。一度はキーパーが弾き出したが、ファーサイドの佐藤が「予測してこぼれてきたところ」にうまく身体をひねりながら思い切り振り抜いてゴールネットに突き刺した。「この大会は去年の先輩たちも負けて、その前の先輩たちも一発目で負けてきた」。それを間近に見てきたこの日左サイド起用のアタッカーは「自分が絶対に点を取って勝つというのは常に意識していた」と強い気持ちで選手権に挑み、その初戦、自らの足で先制弾を叩き込んだ。

その後も左右のスペースから攻撃を仕掛けつつ、ロングスローやセットプレーから追加点を狙った成徳深谷だが、県立浦和も失点後はディフェンス陣が高い集中力を持ってカバー。逆にロングボールから反撃を試みるなど、シーソーゲームの様相を呈する中で前半を終えた。

すると後半は同点ゴールを狙う県立浦和が攻勢に出る。序盤からトップの大橋周平、MF月田夏輝らが積極的に前に出ていくと、後半8分に投入されたDF能登滉太がゴール前でのロングスローから連続して好機を演出する。24分には月田の浮き玉のパスに大橋がディフェンダーを振り切って抜け出し決定的なチャンスかと思われたが、これはオフサイドの判定となった。

後半は押し込まれた成徳深谷だが、「相手は集中力が高い。こういうゲームになることは予想していた」という為谷洋介監督の言葉通り、主将の井上を中心に最後まで落ち着いて守備を完遂。課題だったというラスト5分もしっかりと0で抑えて1ー0でタフな試合をものにした。

「リーグ戦とトーナメントはまったく違う」(為谷監督)。そのことを全員が理解していたからこその1回戦勝利だった。同グラウンドで行われた第1試合は同じくS1リーグに所属する伊奈学園高校が支部リーグの入間向陽高校に2ー0からの逆転負け。「どっちにいくかわからない」(井上主将)と改めて気を引き締め直し、2014年以来のベスト32進出を果たした。

また応援の力も後押しした。すでにメンバー入りできなかった3年生は受験に向けて引退、この日は声援でチームを支えた。「成徳は応援が他のチームよりもでかい。気持ちのところではつながっていたと思うし、昨日はみんなにエールももらったので」と井上。「明日(15日)で自分たちが去年1回戦で負けてから1年。あいつらもその日を自分たちが返すという気持ちでやってきたと思うから」。

引退した仲間たちの想いも胸に戦ってつかんだ勝利だった。

石黒登(取材・文)

試合結果

成徳深谷 1-0 県立浦和

1(前半)0
0(後半)0