初の学総タイトルを狙う南浦和 『走れる10番』沼尻爽汰を筆頭に今年も多士済々のタレント

今年も各ポジションに多士済々のタレントが揃う、さいたま南浦和が初の学総タイトルを狙う。

23日に行われた「令和4年度学校総合体育大会」3回戦では、西武台新座に4-1で勝利した。

前半24分の先制点は圧巻だった。GK條川龍志(3年)のロングキックをFW舩津貴成(3年)が的確にフリックすると、その裏から飛び出した左SBの片桐盛(3年)が仕掛けると見せかけてヒールパス。10番MF沼尻爽汰(3年)のクロスに最後は走り込んだMF渡邊慎也(3年)が決めたゴールは全員が同じ絵を描いていたからこそ決まった、“あうんの呼吸”のゴールだった。

後半に入ってもMF中川璃玖士、FW今平啓太と、注目の2年生たちが次々と追加点を挙げた。

一方、西武台高で2010年に総体4強、選手権8強入りした山﨑健吾監督が就任し、4年目で県の扉を開いた西武台新座も最後まで南浦和を苦しめた。後半8分にはFW平野空海(3年)が粘り、小柄ながらも前半から躍動していたFW佐藤拓実(2年)が右足シュートで1点を返す。

だが、南浦和は後半24分、FW石田悠友(3年)を起点に、右SBの吉田琉也(3年)のグラウンダーのクロスに今平がニアに走り込んで決めてこの日2点目でダメを押し、勝負を決めた。

今年度も新人戦が行われず。「自分たちが県内でどのくらいにいるのか位置がわからなかった」と神立朋次監督は言うが、さいたま市予選では準決勝で与野東に5-1、決勝では土合に4-0で完勝し市大会を制覇。学総の市大会はこれまで準優勝が最高で、意外にも初めての優勝だった。

県大会でも1回戦で上尾東に4-0、2回戦で西武台新座に勝利し、3回戦では羽生南を4-0で退けるなど、市予選・準決勝からすべて4得点以上での大勝と、もはや疑う余地はないだろう。

メンバーは昨年から総入れ替えのような形となったが、「後半のあの時間にこれだけ走れる選手というのは早々見たことがない。気持ち強いし良い選手」という『走れる10番』沼尻を筆頭に今年も好選手が揃う。舩津は小学校の頃は陸上で短距離をやっており、本格的なサッカーは中学から。身長も入学時の167cmから182cmまで成長し、高さのあるヘディングを得意とする。

また、左SBの片桐はひとつキーポイントに。テクニックのある選手で、もともとはトップ下などを主戦場としていたが、神立監督は「あえて」左SBにコンバート。持ち前の攻撃性を生かし、3回戦でも好突破を連発していた。長身の舩津の裏からスルッと表れてくる片桐の存在は相手DFにとって脅威となる。また、1年生大会で圧倒した今平、中川ら、2年生も有力選手が多い。

指揮官は「今年は升掛(壮梧)とか畑(乙樹)とか、その前の高橋伸太朗とか、あのような飛び抜けた選手がいないので、あの手この手でいろいろやらないと勝てない。ただ運動量だけは今までのチームよりもあると思うので、暑くなってくれればチャンスかなと思います」と話していた。

石黒登(取材・文)

試合結果

西武台新座 1-4 さいたま南浦和
0(前半)1
1(後半)3