LAVIDA撃破のクラブ与野、FC東京むさしに惜敗も後半に手応え 「強度」こだわった学年が初の全国の扉を開くか

第28回関東クラブユースサッカー選手権(U-15)大会・ラウンド16(25日/駒沢公園第2球技場)。初の全国大会出場を目指すクラブ与野は、前年度のクラセン覇者・FC東京U-15むさしと対戦。0-1で折り返した後半に盛り返したものの敗れ、今節での全国出場は決まらなかった。

前半は「相手が強いのはわかっていた中で自信を持ってプレー出来なかった」(深田)「全国をかけた戦いという中で少しプレッシャーがあった」(植田)というように相手への過度なリスペクトやプレッシャーもあり、やや重めな立ち上がり。そういった中で前半8分に先制点を許した。

引水後はショートパスを繋ぎながら前進し、前戦のFC LAVIDA戦でも決勝点を生んだセットプレーから迫る場面もあったが、なかなか決定機までは作れず前半はシュート0本に終わった。

「全体が守備のところで連動出来ていなかった。そこのところでしっかり掴むべき人が掴みに行こうというところだけを修正した」(中森翔太監督)

前半はDF永岡真人(3年)、DF安藤純和(3年)のCBコンビがどちらかが1枚余っているような形だったが、HT後は両CBがしっかりと人を捕まえている状態に。また、前線から相手CBへのプレッシングや後方からの声掛けも増え、風上となった後半は一気にペースを掴み返す。

後半4分、MF深田京吾(3年)主将がゴールに迫ると、12分には深田が中盤で寄せて奪い、連動したプレーからMF関口昇佑(3年)の左足のシュートがわずかに外に。15分には関口のパスに抜け出した途中出場の左MF中西栄斗(3年)がダイレクトでクロス。これをFW植田貴士(3年)がエリア内でDFを制しながら収めると鋭いターンから右足を振り抜く。最後のところで相手が足を出してきたことで惜しくもゴールとはならなかったものの決定的な場面だった。

また、相手のカウンター攻撃にもMF冨山亜斗夢(3年)がライン上のボールを掻き出すなど、粘り強く守備。試合の入り方やゴールを決めきるという部分で課題が残ったものの、後半は関東1部リーグ所属の相手に五分の展開に持ち込んだ。中森監督も「ボールを奪うということに関してはみんな強度高くやれる。その中で出ていくというところはこの子たちの良さでもありますし、出ていく瞬間のテクニックであったりの良さはある。その辺はJクラブさんにも評価していただいているところでもあると思う。もっと自分たちの良さを出していこうというところは後半やってくれたので、負けはしましたけど、次に繋がるんじゃないかと思います」と話していた。

この「強度」というのは今年のチームを語る上でキーワードのひとつ。今年で関東リーグ参戦3年目となるが、過去2年はこの強度のところで物足りなさも感じていたという。その中で昨年から変えたことのひとつが中2から高校生との試合を多く経験すること。「そこで強度を上げさせた中での技術だったり、戦術だったりを去年からやれたのは大きい」と中森監督はいう。現3年は中2の時からトップのやっている関東リーグのようなゲーム強度の中で2年間強化してきた形だ。その成果も繋がってか、今年は所属する関東2部Bでも現在3位と好調をキープする。

ラウンド32では昨年の高円宮杯準優勝で今季も関東1部2位を走る県内の強豪・FC LAVIDAを下したことは大きなトピックスに。「お互いもう何度もやらせてもらっている中で、もちろんリスペクトはしていますし、ベスト16に上がるという目的であのゲームをやったわけではなく、LAVIDAにやっぱり勝つというところを目標にしてこの大会に臨んだくらいなので、そこに関していったら子供たちはよくやってくれたと思います」。まだ、明確な差があるのも事実。だが、それでも目標としていたチームを倒したことは、ひとつチームにとって大きな自信となった。

ストレートインとはならなかったが、初の全国を目指す戦いはまだ続く。ここからは勝ち抜けの8分の7を巡る代表決定トーナメントへ。初戦は鹿島アントラーズFCと戦うことが決まった。

中森監督は「LAVIDAのためにも、埼玉県のためにも、僕らが(全国に)出ないといけないというのは重々わかっていますし、そこはもう何が何でも取りに行くということはみんなわかっているので、しっかりとやっていきたい」と話し、キャプテンの深田は「僕たちはまだ何も歴史を変えていない。(次勝って)全国に行くという歴史を作りたい」と意気込みを示す。関東1部勢との連戦でプレー面で戦えることは証明した。あとは自信を持って臨み、勝利を掴み取るだけだ。

石黒登(取材・文)

試合結果

クラブ与野 0-1 FC東京U-15むさし
0(前半)1
0(後半)0