埼玉栄が個の高さ見せるも、前半3発の成徳深谷が8強へ! 準々決勝は“深谷ダービー”に
令和4年度全国高校総体県予選・3回戦(11日)。関東予選4強の成徳深谷は3-1で埼玉栄を下した。また、2大会連続の4強入りをかけた準々決勝は正智深谷との“深谷ダービー”となった。
立ち上がりから押し込んだのは埼玉栄だった。今季から埼玉栄中を率いた滝井友和監督が就任。「コンパクト」「スピーディ」「モビリティ」を掲げ、攻撃的なスタイルを標榜するチームは主戦場とするS2Bでも好調で、4試合を消化し、20得点1失点の抜群の攻撃力で暫定首位を走る。
昨年から10番を背負うエースFW安倍颯汰(3年)を中心に個の高さを見せつつ、ゴールに迫る。10分、自陣で奪い安倍を起点に高速カウンターを発動。MF沖中愛斗(3年)が右サイドでひとり外し、クロスからの混戦にMF原虎太郎(3年)が飛び込んだが、シュートは惜しくも枠を捉えず。13分には安倍が個人での突破から放った強烈なシュートがサイドネットを強襲した。
成徳深谷・為谷洋介監督は「結構スカウティングはしていて、相手の特徴も刷り込んだつもりだったんですけど、思った以上に相手が上手かったり、速かった。10番(安倍)と11番(樋口有斗)がとくにやっかいで、あの2枚は警戒していたんですけど、10番が思ったよりヘディングが強くて、空いたスペースを相手が狙ってくる感じだったのであれが嫌でしたね」と振り返る。
それでも成徳深谷はこの時間を凌ぐと、十八番のセットプレー絡みで3得点。前半26分、スローインからFW平井心瑛(2年)がキープし、それを追い越す形で10番MF和光翔夢(3年)が左サイドを抜け出し。グラウンダーのクロスにMF安野心富(3年)がフリーで合わせて先制すると、33分には右CKのこぼれ球を左SBの鈴木嵐(2年)が左足のキャノン砲で決めてリードを広げる。35分にはロングスローからの混戦を、最後は平井が頭で押し込み3-0とした。
埼玉栄は左SBでスタートしたMF樋口有斗(3年)主将を後半から一列上げて左SHへ。安倍、樋口の2枚看板でゴールに迫る。開始20秒で安倍が決定機を迎えたほか、樋口が鋭いドリブル突破で連続してサイドを突き、12分にはクロスから安倍のシュートがニアポストを叩くシーンも。すると17分に安倍の展開から、沖中がドリブルシュートで決めて、ついに1点を返す。
しかし、成徳深谷もその後は粘り強く守ってシャットアップ。「CB(増子颯竜)とSB(辻本晴也)とGK(木村航大)。守備ラインに経験者がいるのは大きい。この3人がやっぱり支えになっていて、いままでの経験から悪い時間帯も締めどころもわかっている。そこは心強い」と指揮官はいう。危ない時間帯では増子が「武南戦を忘れるな!」と檄を飛ばしチームを盛り立てた。
関東予選は4強に進出し、現3年にとっても初のスタジアムを経験。初の大舞台は緊張などもあり、準決勝で武南に敗れたが、その場を踏めたことはチームにとって大きな財産となった。
もう一度あの舞台に立つために。2大会連続の4強入りをかけた準々決勝は関東予選覇者・正智深谷との『深谷ダービー』に。今季は新人戦の北部支部予選で対戦し、PKによる1点で成徳深谷が勝利を収めた。エース・和光は「深谷ダービーとして負けられないし、インターハイは全国に繋がるので、明日勝ってスタジアムに行って、勝ち続けて優勝までいけたら」と想いを示した。
石黒登(取材・文)
試合結果
成徳深谷 3-1 埼玉栄
3(前半)0
0(後半)1