武蔵越生が市立浦和を振り切り4強進出! 注目守護神を中心に今年も粘り強いチーム

関東大会予選・準々決勝(23日)。武蔵越生はPK戦の末に市立浦和を振り切り4強入りした。

両校は昨年10月の選手権予選1回戦でも対戦。武蔵越生が後半に2点を奪い、勝利していた。

立ち上がりはリベンジに燃える市立浦和がサイドを使って攻め込む。この日もMF八木下岬(3年)が中盤のあらゆる場所に顔を出しながらパスワークの中心となりつつ、右WBに入った岸本滉平(3年)のクロスから形。10番FW林隆希(3年)が得意の抜け出しでゴールに迫った。

それに対し武蔵越生は今年のチームの主将を務めるDF沼田大知(3年)、相手の右サイドに対応した左SBの大島暖(3年)が粘り強く守備。クロスやイーブンのボールには1年時からゴールマウスを守る注目守護神・関根拓郎(3年)が抜群の安定感を見せてゴールキーピングする。

中盤以降は回収率を高めながら前に出る機会も増やしたが、守備時は5バックでスペースを埋めてくる相手の固い守備に苦戦。前半はなかなか決定的なシーンを作ることは出来なかった。

「本当はもうちょっと中盤の3人のワイドのところにボールをつけたかったんですけど、選手も緊張というか、固さみたいなものがあったりしてなかなかそこは見えていなかった。後半はそこを使おうということで、7番の安西が少しボールを持てるようになってきた」(井上精二監督)

後半はそのMF安西歩夢(3年)が立ち上がりから躍動する。2分には敵陣左中間でボールを持つと、右足で目の覚めるようなキャノン砲を見舞っていく。これは惜しくも左に逸れたが、その1分後にスローインから味方が競ったこぼれ球をジャンプしながらボレーで仕留めて先制した。

一方、前回同様追う展開となった市立浦和も有力GKテイラー開(3年)を中心に勝負を決める追加点は許さず。交代カードを切りながら反撃の機会を待つ。するとノータイムとなった後半43分、エリア左でボールを持った林がスラロームドリブルで3人を一気に交わし、前に出た名手・関根の脇を抜いてクロス。これを途中出場のMF石田凛(2年)が沈めて土壇場で追いついた。

その後、延長戦でも決着はつかず、勝負はPK戦へ。武蔵越生は相手の1人目を関根が右に飛んで止めると、5人全員が決めて勝負あり。昨年の選手権予選に続く、ベスト4入りを果たした。

今年も粘り強い守備がベースだ。「切り替え、チャレンジとカバー、そこは技術は関係ないので徹底してやろうと。日々のトレーニングから切り替え、横ズレ、縦ズレというところは非常に選手たちには意識させながらやっているところではあります」。延長戦に進む中でも「やることは変わらない」とチーム全体が共通認識を持って臨み、チャンスらしいチャンスは作らせなかった。

真面目に与えられたタスクをこなすことが出来る選手たちに加えて、今年度の注目守護神である関根の存在感は大きく、指揮官も「彼がいるといないとでは相当変わる」と絶大な信頼を置く。

一昨年は選手権予選準優勝、昨年は優勝候補の昌平を下してのベスト4と結果を残す。井上監督は「これがまた数年続いていくとそこがスタンダードになっていく」と語る。本大会掛けの準決勝の相手は正智深谷となったが、「やるべきこと」は変わらない。粘り強く戦い、勝利を目指す。

石黒登(取材・文)

試合結果

市立浦和 1(3PK5)1 武蔵越生
0(前半)0
1(後半)1
0(延前)0
0(延後)0
3(PK)5