FW古里健人の決勝弾で立教新座が8強へ 初のS1で日常をアップグレードし、歴史を作った先輩たち超えを目指す
関東大会予選・2回戦(17日)。S1勢の立教新座は埼玉平成を1-0で下し、8強を決めた。
立教新座は1回戦で浦和北に5-1で勝利したものの、前半は「綺麗な形でシュートしたいという気持ちが強すぎて攻撃が停滞していた」(前田和伸監督)部分があった。この日は流動的にシステムやポジションを変えながら、人と人との関わりを増やしながらアタックを仕掛けていく。
中盤以降はゴールに迫る場面を増やすと前半27分、相手のクリアボールをMF河下楽(2年)が胸で収め、前線へスルーパス。これを「いま一番人間性も含めてすごく成長出来ている」と指揮官も評する10番MF古里健人(3年)が目の覚めるような右足ミドルで仕留めて先制した。
一方、埼玉平成も後半に入り反撃を開始。FW古川頼杏(3年)や途中出場のFW齋藤大翔(2年)らが多くボールに絡み、ワンタッチパスを連続して繋いで、相手陣地に攻め込んでいく。
後半17分にはDF三吉修誠(3年)のFKに大外でDF清水聖那(2年)がヘディングで合わせるも惜しくもゴールとはならず。また、終盤に投入されたFW伊藤瑠那(3年)が馬力のあるドリブルでゴールに迫る。それでも立教新座はDF木村哲大(3年)が1対1の強さを見せ、今年のチームのキャプテンを務めるDF今野朝陽(3年)が最終ラインをまとめつつ、0で締めた。
それでも「正直2点目、3点目と取ってくれれば」と前田監督も話したように刺しきれなかったのはひとつの課題。「今日も別にやっているサッカー自体は悪くないんですけど、やっぱり最後の質というか、アタッキングサードに入ってフィニッシュしきれない、そこのクオリティーの低さはS1でも最下位になっている要因にもなっているので、そこはちょっとこれから高めていかなければいけない」。この春はチーム事情もあり、指揮官の考えや崩しについて落とし込みきることが出来なかった部分は、トーナメントを通じてチャレンジしていきながら成長に繋げていく。
昨年は選手権で57年ぶりのベスト4進出、リーグ戦では初の1部昇格を決めるなど歴史を作った先輩たちが卒業。チームも大きく様変わりしたが、その中でも「攻撃的なチーム」を目指す。
「やっぱり攻撃が好きな子が多いので、攻撃、攻撃だけには当然出来ませんけど、どうやったら自分たちが良い攻撃が出来るのか、守備もどういう守備をしたら良い攻撃に繋がっていくかというのはちょっと考えて。今年は個々にドリブルがうまかったり、身体が強かったり、速かったり、いろいろな子がいるので、それをうまくフィットするような形というのをちょっとまだ模索しているような状況ですけど、やっぱり守るだけのチームにはしたくないと思っています。打ち合ってでも勝てる、今日みたいな試合も複数点を取って勝ちきる。そういうところに今年は特にこだわっていきたい。なかなかそれをさせてくれるリーグでもないので難しいんですけど、僕も選手と一緒にチャレンジしながら、且つその中で結果を求めてやっていきたいと思っています」
10番の古里に加え、「人に出来ない特徴を持っている」という河下、また昨年の昇格戦で決勝ゴールを決めた左SB岡本聡吾(2年)と攻撃的なタレントも多く、戦術が浸透してくれば面白い。
リーグ戦では昇格組ということもあり、開幕から昨年の上位勢との対戦で2敗と苦しいスタートに。「必要以上に相手をリスペクトしすぎてしまって、チームとしての経験の浅さが1、2戦の結果に出てしまった。もっと自信を持って臨むことが出来ればもう少し良いゲームに持ち込めたかなと思いますし、チームとしての足りないところが多く出てくる試合だった。そういう試合を経験して今後に生かしていこうという想いはありますけど、ただ経験だけして終わるつもりはないのでそこは結果を求めてやっていきたい」と、3節目以降に気持ちを切り替える。
初の県1部、厳しい環境の中で揉まれる1年となるが、これを「日常」とすることが出来ればチームとしてもう一段階上のステージに上がることが出来るはずだ。「リーグ戦2試合が終わって言ったのが、日常の基準を上げていかないとやっぱり上に行くのは難しいよねと。そこにちゃんと彼らが向き合って、これから日々の練習をやっていければ、チームの力には間違いなく繋がってくるとは思う。本当に彼らがこれからどんな頑張りを見せてくれるのか、楽しみにしています」
偉大な先輩たちを超えていくために、立教新座は日常をアップグレードしてもうひとつ上へ。
石黒登(取材・文)
試合結果
立教新座 1-0 埼玉平成
1(前半)0
0(後半)0