西武台・期待の代が11年ぶりの選手権へ! “勝負強さ”身につけ、過去最高の4強以上を狙う

西武台期待の世代が歴史を変えるー。11年ぶり4回目の出場を果たす埼玉県代表・西武台は前回出場の2010年大会に記録したベスト8超えを目指してまずは29日、三重との初戦に臨む。

近年の西武台は“良いサッカーはするけど、最後のところで勝てない”といった、どこか勝負弱い印象があった。しかし、今年のチームはそれを払拭。関東予選では5戦15得点無失点で優勝を飾ると、本大会では山梨学院、明秀日立、日体大柏を下して、11年ぶりの関東王者に輝いた。

インターハイ予選は8強で浦和東に敗れたが、この経験を無駄にはせずに夏の期間でも大きく成長。迎えた選手権予選はけが人を多く抱える中での戦いだったが、代わって出たDF河合陸玖(2年)やDF武田蒼平(3年)がしっかりと穴埋めするなど選手層の厚さを見せ、決勝は延長戦に及ぶ中、DF安木颯汰(3年)の劇的弾で難敵・浦和南を下し、久々の選手権出場を決めた。

また、今季はリーグ戦でも無敗を継続。優勝をかけた最終節の正智深谷戦は先に失点する苦しい展開だったが、後半にFW市川遥人(3年)のゴールで同点に追いつき、関東予選、選手権予選に続く県内3冠を達成した。そして迎えた参入戦では桐蔭学園戦、関東第一戦と2戦連続でPK戦にもつれ込んだ中で、“PKキーパー”の中嶋望(3年)の活躍もあり、2連勝で来季の関東1部参入を決めた。今季公式戦の敗戦はインハイ予選の浦和東戦のみと、抜群の安定感を誇る。

守屋保監督は「サッカーって自分たちのリズムを持っている中で相手が分析してくる分、そのリズムが作れなくなって崩れていく。決して良いリズムというのは作れなかったとしても、“リズムを壊さない”という強さが出てきた」と自分たちの流れを作れなくとも、粘り強く戦えるチームになってきたと手応えも口に。この“勝負強さ”はトーナメントを戦ううえで有利に働くはずだ。

けが人の復帰も大きい。予選ではスタメンを外れたDF長谷川智紀(2年)、MF吉野光(3年)も本大会を前に完全復帰。攻守でリズムを作れる2人の存在はチームにとってプラス材料だ。

DF武笠隼季(3年)やGK淺沼李空(3年)を中心に粘り強く守り、攻撃力のある安木、DF原田蓮斗(3年)主将のサイドアタックや、得点感覚に優れるエースストライカーの市川、ひとりで状況を打破出来るFW松原海斗(3年)、FW細田優陽(3年)のスピードを生かしたい。

今年は“第100回大会での全国”を見据え、1年時から関東ルーキーリーグで3位に入るなど、注目を集めた西武台にとって期待の世代。Aブロックは前橋育英や大津、東福岡と強豪揃いだが、個の能力も高く、勝負強さも身につきつつあるいま、過去最高の4強以上も十分に射程範囲だ。

石黒登(取材・文)