武南FW櫻井敬太が終了間際の劇的V弾! 苦しい時期乗り越えたストライカーが爆発の気配

武南に頼れるストライカーが帰ってきた。FW櫻井敬太(2年)は後半40分、DF重信有佑(2年)の浮きパスに抜けると、「前半も何本もチャンスがあったし、これはもう決めなきゃなと思って「絶対に決める!」という気持ちで蹴った」と利き足とは逆の左足を一閃。気持ちは熱く、頭はクールに。しっかりGKの位置を見極めつつ、空いているニアハイをきっちり打ち抜いた。

チームを4年ぶりのベスト4に導いた背番号9。だが、試合後にゴールの感想を聞くと「とても嬉しかったんですけど、やっぱり安心した感じ」とホッとしたというところが一番だったようだ。

昨年はサイドを務めていた中で今年は特有のパスワークに強豪校に勝つための“縦”というアクセントを加えるべくFWに転向。関東予選ではその可能性を見せ、チームの準優勝に貢献した。強い想いで臨んだ関東大会本戦1回戦で武南は桐光学園と対戦。相手の攻勢を受けながらも、武南も徐々にペースを取り返し縦への推進力などを発揮。そういった中で前半クロスから櫻井がフリーで抜け出し、ボレーで狙ったがこれを決めきれず。後半に2失点し、チームは敗れた。

するとここからなかなかゴールを奪うことが出来ず、イップスのような状態となってしまう。「本当にそこからインターハイ、夏は苦しい時期で、自分でも大きな挫折といっても過言ではない時期だった」と苦しい時期を語る。それでも「そこをどう乗り切るかで自分は変われるなと思った」という櫻井はFWとしての引き出しを増やすべく動き出しや課題の決定力に取り組む。

縦パスの引き出し方は来季からヴァンフォーレ甲府でプレーすることが決まった同郷の先輩FW飯島陸(法政大4年)を参考に。「飯島選手はそこの駆け引きが本当にうまい。そこはもう真似して、どう動いているか、そこは意識するようにしています」。またこの期間でメンタルも向上した。「前は1本打ってダメだったらパスしようみたいなそんなメンタルだったんですけど、絶対に自分が決めるという、夏を通して、強い自信に変われたかなと思います」。いまでは「10本打ってダメなら、30、40、どんどん打つ」と、最後まで挫けずにゴールを目指せるようになった。

そういったすべてが繋がっての決勝ゴール。普段から櫻井にゲキを飛ばしているDF中村優斗(3年)主将も「前半からもっと決めて欲しかったですけど(笑)。でもストライカーとしてよく決めてくれたなと。もっとやれば出来ると思うので頑張って欲しい」。愛のあるゲキは期待があってこそ。それに対し櫻井も「もうやってやる!」と反骨心を持って良い関係性を築いている。

今夏、内野慎一郎監督は「あとは櫻井が戻ってくれば」と話していた。まだ復活というには大げさかもしれないが、本人も「良いきっかけになりました」というように今後の爆発にも繋がってきそうな、ターニングポイントとなりそうなゴール。武南に頼れるストライカーが帰ってきた。