埼玉サッカー通信的、選手権埼玉県大会ベスト8展望
いよいよ選手権も佳境を迎え、30日、31日にはベスト8の戦いが行われる。3回戦ではプリンスリーグ関東所属の昌平、インターハイ予選覇者の正智深谷が敗退するなど波乱もあった。一昨年、昨年とここ2年連続で8強は私学が占めていたが、今年は浦和南、浦和東、越谷西と3校がこのラウンドに進出。また、8校の内訳を見るとS1リーグ3校、S2リーグ5校という形となっており、埼玉を勝ち抜くことの難しさが現れている。そんな混戦模様の準々決勝を展望する。
越谷西 vs 立教新座
「S2対決!ボールの握るのは!?」
S2リーグ同士の一戦だ。越谷西は3回戦でインハイ覇者の正智深谷に対し、一歩も引かずに渡り合って終了間際の劇的弾で実に9年ぶりとなる8強入りを果たした。シャビの首振りを意識する中盤のコンダクターMF長谷部と熊澤を中心に繋ぐスタイルを得意とする。立教新座は2年連続の8強入り。昨年の代にも関わり、攻撃のタクトを握る10番MF高松は3回戦・埼玉平成戦で2得点。相手を「抜く」ドリブルを得意とするMF大塚らを生かしたサイドアタックは切れ味抜群だ。ボールスキルの高い両チームなだけに、まずどちらがボールを持つかに注目したい。
浦和南 vs 浦和東
「浦和対決はロースコア決着か」
ここで両雄が当たってしまうことを残念に思っている人も多いだろう。浦和南は3回戦で成徳深谷との我慢比べを制し、優勝を飾った2018年以来となる8強を決めた。DF戸部、坪井を中心としたディフェンス陣は安定感〇。攻撃では変化を生み出せるMF大里、伊藤に期待したい。また今大会はまだ生まれていない十八番のセットプレーからのゴールも見たいところ。一方の浦和東も3年ぶりの同ステージ。10番の紀を中心に繋ぐスタイルを見せる攻撃陣は2戦9発と好調だ。とはいえ両校のブライドがぶつかり合う浦和ダービーはロースコア対決になるとみる。
西武台 vs 武蔵越生
「昨年セミファイナルの再戦」
8強屈指の鉾立対決。武蔵越生は昨年同様、粘り強さが光る。3回戦では優勝候補と見られた昌平の猛攻を耐えて1-0で勝利し、県内に驚きを呼んだ。昨年の守護神・関根はさらにスケール感を増し、昌平戦でもビッグセーブを連発。市立浦和戦、昌平戦で決勝ゴールのFW伊藤はここ一番での得点力がある。対する西武台も2戦10発とS1リーグ1位の力を披露。エース市川は初戦で4得点。チームはけが人が多いものの、3回戦の後半からは長期離脱からMF吉野が復帰するなどプラス材料もある。昨年は準決勝で敗れているだけにリベンジに燃えているはずだ。
武南 vs 細田学園
「朝霞中体連勢がベスト8で共演」
初の4強を狙う細田学園を武南が迎え撃つ。武南は初戦となった3回戦・春日部東戦で9ゴールと大勝。注目の1年生10番松原が2ゴール、2アシストと攻撃をリードした。対する細田学園はエース金子が好調ですでに今大会6ゴール。3回戦で浦和西の猛攻を凌いだ守備陣も自信を深める。また、楽しみなのが朝霞中体連対決。武南DF中村、細田学園DF吉岡、小川、五十嵐は朝霞二中の出身。この代は関東大会を突破し、全国大会出場を果たした。ちなみに金子は朝霞四中の出。クラブ勢が多い上位ラウンドで、同地区の中体連で育った選手たちが共演を果たす。
石黒登(取材・文)