細田学園FW金子弘輝が2発!過去2年で感じた課題、隣で見てきた先輩FWの存在、すべてを昇華させゴールゲッターとしての覚醒の時
「このチームは俺が決めないと、と常に思っています」とゴールへの強い想いを語る。細田学園FW金子弘輝(3年)が浦和西戦で2得点を決め、チームを3年連続となるベスト8に導いた。
敵将の浦和西・市原雄心監督は「金子は絶対に要注意だよと。リーグ戦でもずっと点を取っていて、得点感覚があるし、献身的にやる。サイドからのクロスに対しての飛び込み、あれだけは本当に気をつけようと練習の中で確認して準備はしていたんですけど」と金子への警戒を明かす。
その中でも「警戒されてもやることは変わらない。自分は得点だけを考えていました」と金子。絶対に負けないと自負するスピードを生かした仕掛けや裏抜けでジャブを与えていくと、「クロスの抜け出しだったりというところは非常に良くなってきて、この間でもすごく成長している」と細田学園・上田健爾監督も認める、相手がもっとも警戒していたクロスからその上を行く。
前半25分、MF田端優作(2年)が右サイドを抜け出すと「ファーに逃げてから相手の背中に隠れて」相手の視野から消えるプレー。そしてクロスをダイレクトで合わせて先制点を奪った。
その後同点とされたが、前線から献身的なプレーを見せ、「俺に出してくれ!」「俺はやるぞ!」と熱い言葉でチームを鼓舞。すると延長後半9分、MF小川愛斗(2年)が中盤でボールを奪い取り、斜めに刺すようなパスを送る。これに反応すると本人としても「完璧だった」というトラップで最高の位置に落とし、最後は飛び出してきたキーパーの脇をぶち抜いて決勝点とした。
今年は『ゴール』というところを貪欲に求める。金子は1年時から出場機会を掴んでいた中、「ずっと前線の選手をやっていて、1、2年で合わせて選手権で1ゴールしか決めていなかった」。もちろんそれ以外の部分での貢献度も高かったが、ゴールというところは課題として残った。
そしてもうひとつ、隣で見てきた先輩FWの存在。昨年の細田学園は齋藤真というエースストライカーがゴールを量産し、チームを2年連続の8強へと引き上げた。「自分は常にそばにいて、毎試合ゴールを決めていたのを見ていたので、そこには負けられないなと。新しい細田に行くためには、自分がそこを超えないといけないと思ったので、もうずっとゴールは常に意識しています」。エースとして結果で導く、同じ立場となったからこそ今年は自分がという想いが強い。
そんな想いを持って臨んだ今年はリーグ戦でもゴールを量産中だ。1試合1点ペースで得点を積み重ね、S2Aリーグで首位を走るチームを牽引する。また、迎えた今大会では0-2からの大逆転勝ちを収めた1回戦の浦和北戦(4-2)、2回戦の東農大三戦(3-0)、そしてこの日の浦和西戦と3試合連続の2ゴールを決めて、齋藤が昨年記録した5ゴール越えを果たした。
「(6ゴールで齋藤越えを果たしたが、)埼玉のトップに立つためにはもっと決めないといけない。あと準々決勝、準決勝、決勝と、自分がゴールを量産して埼玉のトップに立ちたいです」。
覚醒の時を迎えたゴールゲッターが今度こそ、自らのゴールでチームの歴史を塗り替える。
石黒登(取材・文)