越谷西MF長谷部碧がシャビ意識の首振りと技術で王者を翻弄。後半はセットプレーから2点を演出し劇的勝利の立役者に

夏の覇者・正智深谷撃破の立役者だ。越谷西の技巧派MF長谷部碧(3年)はこの試合、巧みなボールコントロールと正確なキック技術でゲームを掌握。チームの逆転勝利に大きく貢献した。

「Sリーグの方でも結構ボールを捌いたり出来ていて、今日もみんながいっぱいボールをつけてくれて「自由にやっていいよ」と言われていたので、いつもより伸び伸び出来たかなと思います」。

「自分が真ん中で受けて、そこで1回チームを落ち着かせようと思って、ずっと中盤の間で顔を出すことを意識して今日はやっていました」という背番号7はピッチの至るところに顔を出してボールを引き出すと、正智深谷の厳しいプレッシャーにもまったくひるむことなくボールをコントロール。そこからのドリブルや正確なロングフィードで夏の王者を手玉に取ってみせた。

意識していたのは「首振り」だ。参考にしているのは元スペイン代表のシャビ。「試合中に何百回も首を振ったりしていたので、それも自分も取り入れようかなと思いました」。スペインの名手同様、何回も首を振り、あらかじめ状況を次の展開を予想しているからこそ焦ることはない。

また足下のうまさは中学時代に手に入れたもの。ジュニアユース年代、長谷部はフェレザFCでプレー。「小学校の時はあまりうまくなかったんですけど、自分の代は周りがみんなうまかった。そこでコーチからしっかり周りを見れば足下も落ち着いて持てると言われて、ドリブルの練習だったり、自分で練習して、自信がついたかなと思います」。長谷部のいた代のフェレザは浦和東で10番を背負うMF紀武瑠(3年)や桐生第一の主将を務めるMF金沢康太(3年)と各地で活躍している。そういった選手たちに刺激を受けながら身につけた技術がいまに生きている。

また高校で伸びたというキックでも存在感。「そんなに右とか左にずれることはあまりない」という展開はもちろん、セットプレーから正確なキックで2得点を演出し逆転勝利を引き寄せた。

「(正智深谷相手に自分の技術を発揮出来たことは)自信に繋がりました。今日のプレーの課題、ディフェンスのところをしっかり見直して、今日の出来た部分をしっかりピックアップして、準々決勝も周りをどんどん使っていったり、パスワークで前線からいけたらいいと思います」。

越谷西初のベスト4入りがかかる次戦。準々決勝の相手は立教新座と強敵だが、アタックを牽引する“越谷西のシャビ”が多くボールを握る展開となれば、歴史が動く可能性は十分ありそうだ。

石黒登(取材・文)