前半の決定機逸悔やむ。正智深谷MF大野涼真は神村の世代別代表、大迫、福田に学び、決定的な選手となって選手権へ
「失点後の次のプレーでクロスに俺が入っていった場面、あれをやっぱり決めきらないと。相手は1回のカウンターでしっかりとサイドネットにぶち込む。そういう能力がやっぱりトップとして、シュートというのがずっと課題で、そこは練習していかなければいけないと感じました」。
正智深谷MF大野涼真(3年)がそう振り返ったのが前半26分のシーン。リスタートからMF増子康介(3年)が運び、MF平田脩真(3年)のグラウンダーのクロスに合わせたが、「相手が前にいて、触るか触らないか、あそこでちょっと迷いが生じて、振るのが遅れてしまって、しっかり足に当たらなかった」。一瞬の逡巡がわずかなズレを生み、シュートは右ポストに直撃しゴールとはならず。これが決まっていれば、まだ試合はわからなかっただけに決定機逸を悔いた。
また、「前半の最初で相手が途中、多分3バックに変えてきたんですけど、(WBの)裏に抜け出して、そこにロングボールを入れられれば良かったのをトップ2枚がうまく連動出来ていなくて、相手の背後を取れる数が少なかったなと思います」とFW山口陽生(3年)と役割がかぶってしまったことを反省。「自分はトップ下なんですけど、やっぱりトップが落ちた時には裏に抜けないといけないし、もっと足下で受けて、落として展開というのをしなきゃいけなかった」。
「やっぱり大迫選手は下にもいるけど、真ん中のボランチの間とかで受けて、一気にボランチを置き去りにするとか、そういう位置取りがうまいなと思いました。一発で前を向けるというか、良いところにいるから、受けた時にプレスをあまり受けていないというか。逆に俺はCBを引きつけちゃうから、結局背負って無理な体勢で落とすことが多かった」。同じトップ下の位置を務める神村学園のU-17日本代表候補MF大迫塁(2年)にはポジショニングの面で学びを得た。
「(県予選の)昌平戦では相手が切り込んできた中で、真ん中を締めてギリギリで運良く点が取れた。神村に対してもそれをやろうとしたが、相手はパスを回しながらサイドをしっかりと使ってきて、それで開かされて中に入れられてしまった。それはやっぱり守備の部分も足りないし、逆に攻撃でしっかりと回せないと、ボールの主導権が握れないと、体力的にもきついですし、全国に行った時に通用しないかなと思いました」と攻撃面でも主導権を握ることの大事さも実感。
小柄なアタッカーは「ワンチャンスのシュートをしっかり決められるところと、いざとなった時に1対1でビビらず1枚剥がせる力。福田師王(神村学園/U-18日本代表候補)はそういうところを持っているんじゃないかと。咄嗟になった時に自分の力でゴールまで行ける、そういう力を身につけて選手権に臨みたい」とこの日の経験をフル活用して決定的な選手への成長を誓う。
石黒登(取材・文)