鳥栖内定OB直伝の空中戦などで昌平をシャットアップ。最後尾で存在感を放った正智深谷DF森下巧はさらに安心感をもたらせるCBに

組織的な守備で昌平を零封した正智深谷にあり、最後尾に構える背番号4の存在は別格だった。

今大会怪我でメンバー外のMF寺田海成に代わりキャプテンマークを巻いたDF森下巧(3年)は、持ち味の対人や空中戦の強さを生かし昌平の強力アタッカー陣に対して多くの局面で勝利。特に空中戦ではほぼ無敗で「やっぱり昌平という相手には本当に負けたくないですし、自分がどれくらい戦えるんだろうと思っていた中で本当に自信を持って戦えました」と手応えを語る。

後半はU-17日本代表候補MF荒井悠汰(2年)とマッチアップ。「本当に一般人と思えないくらいうまいんですけど、気持ちでは絶対に負けていないと思ったので、絶対に守れるという気持ちで入れた」。20分過ぎには決定的なシュートをブロックしたほか、試合を通して攻撃の起点となるロングボールに抜群の強さを見せるなど、今大会4度目の無失点勝利に大きく貢献。小島時和監督も森下とDF小屋結生(2年)のCBコンビについては「完全に核」と絶大な信頼を置く。

身長は175cmとCBとしては小さい方だが、「やっぱり自分の武器は対人だったり、スピードだったり、空中戦を自分の強みとして思っているので、そこで勝負できたらと思っています」と屈強な体躯を生かした守備やタイミングの良いジャンプで身長を感じさせないプレーを見せる。

中でも空中戦は先週末まで教育実習に来ていた同校OBで来季のサガン鳥栖内定が決まったDF孫大河(立正大4年)の直伝。「タイミングだったり、落下地点だったり、結構細かいところまで指導してもらいました」。クラスの担任も務めた孫からは、サッカー面以外でもさまざまな話を聞き刺激になったという。また同じく鳥栖内定のFW梶谷政仁(国士舘大4年)は怪我もあり一緒にプレーすることは出来なかったが、「FWとしてどういうDFが怖いか」を教わった。

憧れの選手はDFとして初のバロンドーラーとなった元イタリア代表のファビオ・カンナバーロ。ちなみに同選手も同じ175cm。「プレー集とか毎週のように見ていて、本当に好きなので自分もカンナバーロみたいになりたい」とYouTubeなどで動画を見ながら参考にしているという。

「DFだったりキャプテンというのは、本当に自信を持ってチームに安心をもたらせられるような選手。そのような信頼されるCBになりたい」。すでにそのような存在にはなっている森下だが、決勝の武南戦でもきっちりと零封し、さらにチームを安心させられるような存在になる。

石黒登(取材・文)