準優勝の越谷サンシン。「できたこと」「できなかったこと」を持ち帰り、次の舞台での躍進を


初優勝を狙った越谷サンシンは相手の厳しいプレスの前に押し込まれる時間が続くと前後半の立ち上がりと前半終了間際に3失点。後半17分に小林将也のシュートがポストをかすめ、そこから得たフリーキックからもゴールに迫ったが、相手の好守などもあり得点を奪えずに敗れた。

長妻祐次監督は「(前半の2失点もあり)ゲームのプランがなかなか作れなかった。後半の立ち上がりもむやみに蹴り返して、拾われて、3点目を入れられてしまった。相手のプレッシャーもある中で普段からやらなきゃいけないことをできなかった」。チームとして目指す、良い判断をしながらボールを運んでいくスタイルを決勝で発揮することはできなかったことを悔やんだ。

試合が終わると自然と涙がこぼれた。「やっぱり初の優勝を狙いたかったので…」と藤田颯ノ介。主将の蓮沼倖長は「すぐは実感がなかったけど、ベンチに戻った時に監督とかから声をかけられて、そこで泣いてしまいました」。最後のタイトルにかける想いは強かっただけに感情があふれた。

それでも今大会は堂々の決勝進出。「もともとみんな力はあった」(長妻監督)という中で全日本予選や4種選手権では力を発揮することができなかったが、「この大会の前にも走ってきたりしていたので、その練習の成果が出せて、決勝に行けたのかなと思います」と蓮沼主将は振り返る。

課題も感じた中で「できた」と感じることもある。蓮沼にとってそれは「ボールを跳ね返すこと」や「声かけ」であり、藤田にとっては「ボールを収めること」。また今大会出場したすべての選手がそれを感じたことだろう。「できたこと、できなかったこと。1回戦から今日まであるんですけど、それを全部ちゃんと自分で整理して、次にやっぱり繋げていってほしいですね」と長沼監督。「できたこと」と「できなかったこと」、2つを持ち帰り、中学年代での飛躍の糧とする。

石黒登(取材・文)