今年一番成長したチーム。武蔵越生は準優勝も堂々と大会を終える
前半0-0でジョーカーを切って後半勝負。武蔵越生はこれまで通りのスタイルを貫いた中で前半はプラン通り粘り強く守ってスコアレスで凌いだが、後半開始6分の失点が大きく響いた。
「後半のやっぱり20分、あと10分なんとか粘ってくれていれば替えどころで2枚入れてというところがあったんですけども、ちょっとやっぱり1点目の失点が早かった」と西澤浩一監督。当初は後半20分あたりで切る予定だったスーパーサブのFW五十嵐大翔、FW渡辺光陽を早い段階で切らざるをえず、気持ち的に前掛かりになったところを2点目、3点目とやられた。
中盤以降はボールを持つ時間も増えた中で渡辺のミドルシュートが枠を捉えたが、キーパーの好守に遭ってゴールとはならず。チームとして初の選手権予選決勝は0-3という結果になった。
それでも今年は新型コロナで各校チーム作りをするのが難しかった中で一番伸びたのが武蔵越生だったように思う。新人戦から売りであった木村一世、松永浩弥、石田哲也の3バックはさらにスケールアップ。1年生GK関根拓郎も台頭し、準決勝までわずかに1失点と鉄壁を築いた。
また当初は攻撃に関しては未開拓という印象だった中で攻撃陣も大きくレベルアップ。それぞれがそれぞれに与えられた役割をしっかりとまっとうし、FW寺島啓太をはじめ3トップは前半からジャブを繰り出し、五十嵐、渡辺で仕留めるという鉄板のパターンもできあがった。そして目立たないながらも両ウイングバック、インサイドハーフの献身的な働きも躍進に繋がった。
今年以上にタレントがいた代はあった中で先輩たちもたどり着くことができなかった決勝進出。西澤監督は「本当に勝つことによって人が成長していくとい姿を垣間見ることができた。サッカーだけじゃなく、人間的にも大人になっていったのかなと思います」と選手たちを誇った。
石黒登(取材・文)