藤島崇之監督インタビュー 自信を深めたベースと「チャレンジ」を経て悲願の日本一へ

「昌平の強さを探る」最終回

ここ数年で全国でも強豪校の仲間入りを果たした昌平高校の強さを探る。最終回は今年度に向けて藤島崇之監督に語ってもらった。※このインタビューは活動自粛前に行われたものです。

―今年度はS1リーグとプリンスリーグで磨かれる環境も揃っています。藤島

:本当にそういう意味では良いと思いますね。レギュレーション的にもいままでは(S1リーグで)25人登録したらほかのカテゴリーでは出られなかったのが(プリンスリーグでは)15人くらいのコアメンバーと、S1も両方とも出られる選手が増える。このレギュレーションをうまく使いながら、強化をしていくというところは考えています。いままで20何人いると試合経験を積めない選手が出てきて、サブになると結構きついなみたいなのがありましたけど、そういう部分ではS1も有意義に使える。でもそこも勝負にこだわりたいというのはありますね。

―去年を経験した経験値のある新3年生と、期待の1年生たちも上がってくるということでかなり楽しみな年代になりそうです。

藤島:そうですね。それに加えて新2年にも確実に面白い選手はいる。それがS1でちゃんと力をつけられるような状況が出てくるといいですね。といいながら今度の3年生は全体的に層がいいんですよ。別に今回の新人戦のメンバーだけじゃないですし、逆に言えばもっと戦えるメンバーもいます。そういう相乗効果で全体像をちゃんと意識しながら、ただそこにやっぱり競争は作りながらやらなければいけないと思いますし、それでトップの選手もそこに刺激を受けながらやっていけたらと思います。うちのトップの選手は結構伸びるんですよ。入れ替えはあまり多くないんですけど、必然的に結構伸びている。そういう意味でも楽しみですね。

―今年は須藤直輝くんがキャプテンになりました。

藤島:彼も自分のことだけ考えてやるようなタイプじゃない。いろいろな意味で良さは発揮できる状況はある。そういう部分でチームとしてのまとまりは、まず選手は選手でまとまってくれというところも込めてキャプテンをやらせています。

もちろん我々もそこにしっかりと取り掛かっていける状況を作っていきたいと思いますし、我々スタッフだけが発信していく状況じゃなく、選手発信で物事を解決していく方が良い時もある。そのバランスは取りながらやれればいいかなと思います。

―そういった中で強化をしていって、去年果たすことができなかった全国制覇というところが目標になってきます。

藤島:そうですね。インターハイ(※今年度は新型コロナウイルスの影響で中止に)も、もちろんですけど、日本一というのは一番大きな目標になってくる。もちろん彼らも去年の選手権を戦う中である程度のイメージができていると思います。

去年のチームは青森山田や静学とも試合をしていて、静学戦はゲーム内容的にはかなりの手応えを持っている。帝京長岡や矢板中央ともやっていて(※4校は今年の選手権のベスト4チーム)全国のトップを経験しています。そういう部分では大体の自分たちの立ち位置がわかっていて、その立ち位置の中で「もっとこうしたい」とか、「もっとこうしなければいけない」とか、そういう部分は必然的に生まれてくるので、それはチームを作っていく上でのビジョンづくりとしてはいいかなと思います。

―自信を深めたベースにさらに個であったり、ひとりひとりが求めるものを高めていって目標とする日本一へ。

藤島:そこが必然ですね。「やっていかなければいけない」という意識も今後さらに高まっていくと思います。そういった中で本当にトレーニングレベルでもよくやっていると思います。いろいろな意味で戦う気持ちを持っていますし、そこにうまさと強さと兼ね備えていけばもっと良くなるチームづくりはできるのかなと思っているので、前向きに頑張っていきます。

もちろん選手にとっても一番は選手権だと思うので、その目標に向かって行く中ではさっきも言ったようにトレーニングでやったことをすべて出し切れば勝つという状況は作りたい。そういうところでクオリティーを求めていくというところと、あと逆に言えば今年はいろいろなチャレンジをさせたいなと思っています。

個を高めるという中でも、いろいろなチャレンジを、いろいろなスタッフが関わって、話をしながら、やれる環境は作っていきたい。言い方はあれですけど、「今年はチャレンジして潰れるチームじゃない」と思っている。ベースはできていると思うので、いろいろなチャレンジをして、軌道修正しながらやれればいいかなと思っています。

それは個へのアプローチもそうですし、グループとしてもそう。大枠で言うと昌平高校サッカー部というところのアプローチも考えてやれればと思います。変えるというよりも、ちょっとやっぱり現状維持じゃ面白くないかなと。ベスト8という結果は出ましたけど、現状維持だったらもうそれ以上はない。それ以上を求めていくための変化を見ることができる1年にしたいですね。

石黒登(取材・文)