成長しながら「応援されるチーム」になっていった原山中 最後は笑顔で次のステージへ
「中体連でもやれるというところを見せる」。目標としていたステージにはあとひとつ手が届かなかったが、それでも今年様々な歴史を打ち立てたミラクルチームの最後は笑顔だった。
23日に行われた高円宮杯U-15の代表決定戦。中体連として唯一このステージにコマを進めた原山中はPK戦の末に敗れ、関東大会出場とはならなかった。この試合ではWボランチの一角で空中戦に強さを持つ田邉海斗を欠くなど主導権争いで難しさもあった中でFW平石陸人、MF松本力哉の推進力で押し込むシーンもあったが前半終盤に失点。後半も苦しい展開が続いた中でそれでも後半ラストワンプレー、センターサークル付近からのリスタートでキーパー以外は全員が敵陣に上がるとDF郭潤昌のキックは仲間たちの想いを乗せたかのように最後にひと伸びしそのままネットへ。山﨑匠監督も「原山らしさ、あいつららしさが出たゴール」と称した。
その後、チームは延長戦も戦い抜いた中でPK戦の末に敗退したが、試合後ミーティングが行われている教室から聞こえてきたのは笑い声。教室での風景をキャプテンの平石が振り返る。
「中体連は僕らしか残っていなかったし、アスミさんやカムイさんの分も勝ちたかったので本当に悔しい。それでも最後はそれぞれが悔いというよりはやりきった感の方が強い。全国大会の時もそうでしたが、ここで終わりというわけじゃない。ひとりひとりがこの経験を経てどうしていくか、全員が前を向けるような言葉を掛け合えたからこその笑顔だったと思います」。
今年は新人戦、学総で2冠を獲得。関東大会も制覇し、全国では私学優勢の中で8強入りを果たした。今予選でもクラブチームを倒して代表決定戦に勝ち上がるさまは、様々な人の心を打ち、「本当に色々な方に応援してもらえるチームになった」と山﨑監督。エースとして牽引した平石は「これは本当に僕たちだけの力じゃないと思う。前任の北野(邦旭)先生がいなかったらここまで来られなかったと思うし、保護者の方のサポートも大きかった。応援の声もすごく感じていて本当にありがたかったです」と感謝。最後に仲間たちに伝えたいことはあるか聞くと「最高です!」と一言。生涯の友を得た中学サッカーを振り返る顔はやはり笑顔だった。
石具登(取材・文)