「全員でここまで来られた」正智深谷MF大和田悠主将は仲間たちに感謝「このチームのキャプテンやった経験を生かしたい」

前回出場の2016年に記録した8強超えを狙った正智深谷だが、ベスト32で涙。悔しい想いもある中でMF大和田悠(3年)主将は「全員でここまで来れた」と仲間たちへの感謝を語った。

「自分たちは東福岡に比べて全員、能力が低いのは当たり前。そこを理解したうえで、全員で相手よりも頑張れば、何かチャンスがあるだろうなと思って、そういう気持ちで試合に臨みました」

2回戦の相手はプレミアWEST所属で大会優勝3度の東福岡。相手が格上だということを十分理解したうえで、正智深谷は前半からプレスや守備など、今年のチームのストロングで勝負する。

「東福岡は中盤にうまい選手がいっぱいいて、その中盤の選手にやらせてしまうとずっと相手ペースになってしまう。自分と吉田は守備のところで1試合、走り抜くところを得意としているので、そういったところで相手に勝るところを意識してやって前半はうまくできたと思います」。大和田もコンビを組むMF吉田匠吾(3年)とともに中盤で運動量を見せチームを下支えした。

しかし、後半は「ディフェンスラインとボランチの間に間延びが起こってしまって、そこでうまくスペースを使われて、守備を無効化されるシーンが多かった」。全国経験も豊富な試合巧者に小さなほころびを突かれ失点。中で話をしながら修正を図ろうと試みたが、「焦ってしまって、なかなか自分たちの思う通りにできなかった」。終盤にもさらに1点を奪われ0-2で敗れた。

それでも今大会は、1回戦でプリンス九州所属の長崎総科大附を2-1で下し、8年ぶりの冬の全国で1勝。東福岡戦も善戦した。「8年ぶりの全国で、コーチたちにアドバイスをもらいながら、全国の舞台はどういうものなのか想像しながらやってきて、まずは初戦で1勝することは難しいことだよと言われていた中でそこをみんなで乗り越えて、2回戦も東福岡はプレミアリーグですけど、そこにもビビらず、全員でやりきれたので良かったかなと思います」と胸を張った。

今選手権は3年生にとっても夏冬含めて初の全国大会だったが、試合前の整列の一幕では笑顔も多く見られ、チームとしての雰囲気の良さを感じさせるシーンが多かったのも印象的だった。

「本当に面白いくらい緊張感がなくて。本当に仲良く、楽しいチームで、そういったところがうまくリラックスして全国に入れたところかなと思うし、自分もこのチームをまとめるのが楽しかったし、このチームのキャプテンをやったっていう経験を生かしながら過ごしていきたい」

試合後に伝えたのもともに戦ってきた3年生たちへの感謝だ。「ここにいる正智深谷のサッカー部の3年生全員があってこその成長だと思っていて。その全員がいるから競争が生まれて、みんな成長できたと思うので、その3年生全員でここまで来れたっていうのは伝えました」と話す。

また、「あいつら俺らよりも泣いてたんで(笑)」という下級生たちにもエール。「全国の舞台を1、2年生で知ることができたことは、リベンジできるチャンスがあることなので、ここにいるやつらが中心となってチーム作りして、(来年)リベンジしてほしいなと思います」と期待した。

卒業後は流通経済大に進学予定。「もっと強くならないといけないと思うし、うまくならないといけない。まだまだ成長できる部分がいっぱいあるので、大学でそこを磨いて、自分の目標であるプロっていうところまで上り詰められるように頑張りたいなと思います」。ともに戦い、成長してきた正智深谷での3年間。大切な仲間たちとの思い出を胸に、新たな4年間へと向かう。

石黒登(取材・文)