埼玉サッカー通信的 高校サッカー選手権 埼玉県予選優秀選手総評2024
GK
森穂貴(3年/正智深谷)ハイボール、クロスで絶対的な存在感
8年ぶりの全国の立役者のひとり。準々決勝の聖望学園戦では前半、相手FWとの決定的な1対1を防ぎ、後半は聖望学園の得意とするセットプレーやクロスをことごとく防いだ。決勝の浦和学院戦でもやはりハイボールやクロスに抜群の存在感を発揮して優勝に貢献した。父は同校女子サッカー部顧問。憧れ続けた舞台に「チームのためにプレーして、一致団結勝ちに行きます」。
正智深谷GK森穂貴、ハイボール対応で抜群の存在感!8年ぶりファイナル進出の立役者に
岡本悠汰(3年/浦和学院)
猛攻を受けるも「楽しんで」西武台を零封
やはりハイライトは準決勝の西武台戦だろう。後半は1点を追う相手の猛攻にさらされたが、「クロスが来た時にキャッチしてめっちゃ楽しいし、嬉しいみたいな」と、この場面でも楽しんでプレー。相手FWとの接触も恐れず、西武台の得意とするファーへのクロスを防ぎ続け、無失点勝利に貢献した。「今大会、本当に楽しくて。あっという間でした」と80分間を振り返った。
浦和学院GK岡本悠汰、「本当に楽しくて」。相手のクロス攻勢も楽しみながら零封し西武台撃破
DF
佐藤飛友(3年/正智深谷)憧れの埼スタで全国決定弾!守備でも好プレー
憧れの埼スタで輝きを放った。決勝戦では18分、左CKのこぼれ球に右足を強振。ゴールネットに突き刺し、これが8年ぶりの全国を決める決勝弾となった。ファイナルが行われた埼スタは幼い頃、両親と日本代表戦を観戦し、「ここに出たいね」と話していた憧れ続けていた舞台だった。守備でもDFリーダーとして統率し、準決勝では相手の決定機を阻止するビッグプレーも。
正智深谷DF佐藤飛友、憧れ続けた埼スタで全国決定弾!8年前は現地で生観戦「このユニフォームで出たい」夢叶える
鹿倉颯太(3年/正智深谷)
今大会も鍵となった「試合を決める」左足
「自分のキックは1本で試合を決められる」。今年は幾度となくキックでチームを救ってきた中で、今大会も「試合を決める」左足が鍵となった。準々決勝の浦和東戦では1-0の後半、「昨日も練習で同じ場所から蹴っていて。狙い通りでした」とコース、スピードともに完璧な軌道を描く直接FK弾。準決勝、そして決勝も試合を決めるゴールは鹿倉のセットプレーから生まれた。
正智深谷DF鹿倉颯太、「試合を決める」左足炸裂! 今大会2度目のFK弾でチームを4強導く
秋澤聖(3年/浦和学院)
ゴール前に堅陣築く。左足のキックでも存在感
今大会はDF御武内龍吾、DF上村龍生、GK岡本悠汰とともにゴール前に鉄壁を築きながら、準決勝まで無失点の守備を支えた。また、長所だと話す「左足のキック」でも存在感。目線や身体の動きで相手を外しつつ、ワンステップで相手DFの裏や逆サイドに刺すようなパスや、セットプレーでは準決勝の西武台戦で正確なキックからFW橋本秀太の決勝ゴールをアシストした。
菅野陸斗(3年/聖望学園)
対人や空中戦で強さを見せた守備の要
山本昌輝監督も「今年はあそこの守備力が高いので安心して見ていられる」と信頼を語る聖望学園・守備の要は183cmの長身を活かした空中戦で相手のロングボールやセットプレーを跳ね返し、対人の部分でも強さを発揮。準々決勝の昌平戦ではその高さを攻撃面でも活かし、先制点を喰らった直後にコーナーキックをファーサイドでヘディングで折り返して同点弾をアシスト。
対人や競り合いで強さを発揮 昨年4強の聖望学園DF菅野陸斗主将「全員で全国に行きたい」
ペイトン有玖主(3年/聖望学園)
攻撃能力の高さを示し、総体王者相手に2発
準々決勝の昌平戦では2得点を決め、勝利の立役者となった。1-1の前半22分に右CKから味方が折り返したボールを混戦の中でしっかりプッシュして勝ち越し弾を奪うと、さらに特徴を見せたのが2点目。味方が敵陣でセカンドボールを回収すると「やっぱり自分の持ち味はスピードを活かしてのオーバーラップ」と右サイドを駆け上がり、右足シュートを対角に突き刺した。
聖望学園DFペイトン有玖主、憧れの存在と同じ「7」をつける攻撃的右SBが昌平戦で2発
田中理月(2年/武南)
「目立たないけどうまい」指揮官も絶賛していた左SB
シーズン始めに内野慎一郎監督も「目立たないけど、うまいと思います。俺は本当に好きなタイプで、感覚的にもすごく良いと思います」と話していた左SBはサッカーセンスの高さやボールコントロールでサイドから攻撃を活性化させるプレー。また、2回戦の狭山ヶ丘戦では後半、ボランチとしてもプレーした。優秀選手にも下級生から唯一の選出で来季も楽しみなタレントだ。
MF
大和田悠(3年/正智深谷)チームを再びひとつにまとめ上げた影のMVP
総体予選後のリーグ戦で鎖骨を骨折し離脱。主将の抜けた夏場はなかなか結果にも結び付かず、チームはバラバラになりかけていた。それでも復帰後は「外から見て気づいたことをみんなに要求する」ことを意識し、声をかけながら、大和田を中心にチームは再びひとつに。佐藤飛友も「声をかけてくれて、チームをまとめてくれたので、本当に感謝してます」と話す影のMVPだった。
正智深谷MF大和田悠、チームをまとめ上げた主将が影のMVP! 準決勝、決勝は親友と互いに腕章を巻いて激突「とても楽しい経験になりました」
吉田匠吾(3年/正智深谷)
攻守に気の利いたプレーで中央に安定もたらす
ひとつ上の代でも主力としてプレーした吉田は、今大会もストロングポイントの走り負けない豊富な運動量を活かした守備と気の利いたポジショニング、またボール奪取からの切り替えの早い攻撃など攻守で活躍。決勝の浦和学院戦もコンビを組むMF大和田悠としっかりと連動しながら中盤をコントロールして相手を自由にさせず。大会を通して中央で高い安定度を見せた。
平瀬優真(3年/浦和学院)
指揮官も「さすが」と唸ったプレーメーカー
今年から指揮を執る川上監督も「もうさすがだなという感じ」と唸る浦和学院のプレーメーカーがチームを37年ぶりのファイナル進出に引き上げた。中盤底でボールスキルの高さを見せながら、縦につけるパスで攻撃を加速。また、「見る人が見たら良いって思えるようなプレーをしたい」という10番は小学校年代から意識しているという「味方を生かす」プレーも秀逸だった。
指揮官も「さすが」と唸る10番。浦和学院MF平瀬優真が意識する「味方を生かす」プレー
佐藤大心(3年/浦和学院)
「三苫の原理」追求し成長。浦学のキレキレドリブラー
1年次から出場機会を与えられていた期待のドリブラーは今季、トレーナーと二人三脚で憧れの日本代表MF三苫薫を徹底追及し成長。今大会は三苫と同じ左WBで出場すると、切れ味鋭いドリブル突破でサイドを抉って攻撃を牽引。準々決勝の武南戦では終盤にワンツーから抜け出して決勝アシスト。37年ぶりとなったファイナルでも左サイドで仕掛け、チャンスを作った。
トレーナーと二人三脚で「三笘の原理」を追求し成長 浦学の俊足ドリブラー、MF佐藤大心が決勝のキーマンとなるか
小山晃也(3年/聖望学園)
昌平撃破の立役者。攻守で活躍しゴールも
総体覇者・昌平撃破の立役者だ。1点を追う前半16分にセットプレーからヘディングで同点弾を奪うと、その後も中盤で強度の高い守備を見せ、ボールを持てば縦へのパスや運び出しでチームを前進させた。「勝つ自信しかなかったです」という聖望学園の心臓に山本監督も「今日は小山晃也じゃないですか。得点も取れているし攻守にわたって素晴らしい活躍でした」と讃えた。
聖望学園MF小山晃也、リーグ戦躍進の立役者。得点の取れるボランチが選手権初戦で2発
鈴木洸晴(3年/西武台)
サイド起用も得点能力の高さ見せた第3のFW
50m6.1秒の俊足を生かした縦突破と「ゴールが見えたらとりあえず振る」ことを意識する大胆不敵な西武台の点取り屋は、今大会もゴールに迫り続けた。3回戦の成徳深谷戦で1得点を記録すると、準々決勝の埼玉平成戦では1-0で迎えた前半23分に左CKからこぼれ球を振り抜いて追加点をゲット。守屋保監督も「戦術的な部分よりも彼の本能的な部分を褒めてあげたい」。
大谷湊斗(3年/昌平)
夏日本一の主将は8強で涙も攻撃で違い見せる
今夏の全国高校総体では3G2Aと活躍し日本一に大きく貢献。大会後にはU-18日本代表にも選ばれた。夏冬連覇を狙った今大会は聖望学園に敗れ、志し半ばのベスト8に終わったが、その試合でも大谷は攻撃で違いを作り出すプレーを随所で見せた。3-1の後半7分に絶妙なスルーパスからFW鄭志錫の得点をアシスト。再び2点差とされたATには自らのゴールで迫った。
FW
太仲貴哉(3年/聖望学園)長身を生かしたポスト、抜け出しで攻撃の起点に
188cmの恵まれた身体を活かしたポストプレーはもちろん、背後への抜け出しや足下の技術にも優れるFW。大一番の昌平戦では1点ビハインドの前半にコーナーキックから強さを見せて2点に関与。準決勝の正智深谷戦は前半、度々3バックの脇のスペースを突いて侵入し、決定機を何度も作った。今大会はゴールこそなかったが、トーナメントを通しても印象的なFWだった。
竹内奏海(3年/西武台)
最前線で攻撃牽引。前線からの守備でも貢献
大宮アルディージャ下部組織育ちで、1年次には関東ルーキーリーグでMVPも獲得した西武台のエースストライカーは、初戦となった2回戦のふじみ野戦で1得点。準々決勝の埼玉平成戦では2トップを組むFW緑川梗雅と前線からしっかりとプレスを掛けながら、前半40分には左サイドからの正確なピンポイントクロスでMF藤木浩人のチーム3点目をアシストしてみせた。
鄭志錫(3年/昌平)
反撃の狼煙を上げる1発も、注目FWは8強で涙
今年は全国の強豪が揃うプレミアの舞台でもボールを確実に収めるなど、存在感を放てるストライカーに成長。全国高校総体決勝では2-2で迎えた終盤、ヘディングでネットを揺らし、昌平初の日本一を自らのゴールで手繰り寄せた。今大会は初戦となったふじみ野戦で1得点。準々決勝の聖望学園戦は後半、反撃の狼煙を上げる1点を奪い、終盤も最後までゴールを狙い続けた。