埼玉サッカー通信的 高校サッカー選手権 埼玉県予選優秀選手総評2022

GK

木村航大(成徳深谷/3年)

6年ぶりの埼スタで勝利

今年の成徳深谷を牽引した守護神。浦和レッズ下部組織出身で、準決勝では憧れの鈴木彩艶や西川周作も立つ埼玉スタジアムのピッチへ。「自分もちょっとうまくなったような、自分もエンブレムだったり、浦和レッズを背負ってるみたいな、そういう感じがちょっとしました」。6年前の4種選手権以来となる最高のピッチで初勝利を飾り、チームを初のファイナル進出に導いた。

浅倉達也(細田学園/3年)

経験に裏打ちされた好守光る

「朝倉がかなりこの大会でチームを救ってくれた」(上田監督)。昨年からゴールマウスを守る中で今年は経験に裏打ちされた落ち着きや予測の高さを示し、ゴールを死守。初戦となった2回戦の埼玉平成戦でもビッグセーブを見せてクリーンシートに抑えると、ベスト8の浦和西戦は昨年に続き、白熱したゲームとなった中でPK戦では2本をストップし、勝利の立役者となった。

DF

武村圭悟(昌平/3年)

指揮官が「スムーズ」と評した攻撃的SB

夏の全国大会でも優秀選手級のプレーを見せた左SBは、入学前から藤島監督が「スムーズ」と話していた攻撃参加で今予選も活躍。時には単独で、時には味方を使い、サイドの深い位置を突破していくなど、攻撃性能の高さを見せた。優勝を決めた決勝の大谷の得点は武村が起点だった。

石川穂高(昌平/2年)

守備の柱として攻守で存在感

今大会は相方の鹿島内定CB津久井が負傷明けで本調子ではなかった中で安定感のある守備。決勝の成徳深谷戦でも何本かあったセットプレーをことごとく跳ね返した。セットプレーからの得点感覚も抜群で、準決勝の埼玉栄戦ではヘッドでゴールも記録。また、チーム随一のキックを持つ土谷も「穂高には負ける」と話す、正確な左足のフィードで攻撃の起点としても活躍した。

増子颯竜(成徳深谷/3年)

ピッチ内外でまとめたエアバトラー

今大会も得意のエアバトルで牽引。準決勝の浦和学院戦では相手に高さという特徴を持った選手がいる中で跳ね返し続けた。また「自分は後ろで声をかけてチームをまとめるのが仕事」。ディフェンスリーダーとして試合中はもちろん、副将としてピッチ外でもチームをまとめあげた。

新井優来(成徳深谷/3年)

クレバーな守備で堅守の一角に

総体予選はベンチだったが、今大会は全4試合でスタメン出場。球際や跳ね返しに加え、増子がチャレンジした際のカバーリングもきっちりとこなし、クレバーな守備で堅守の一角を担った。

伊藤日陽(浦和学院/3年)

コーチから学んだヘディング

準々決勝の武蔵越生戦では相方の遠藤とともにチャレンジ&カバーを重ねながら相手を完封。特に得意とするヘディングの部分ではほぼ無敗だった。「もともとヘディングがすごい強いというわけじゃなかった」というが、J昇格前の松本山雅、金沢などでプレーした川上耕平コーチからジャンプのタイミングや身体の使い方、競り方などヘディングの原理原則を教わり武器に。「コーチの指導のおかげ。(高校3年間で)そこを強みにできたのが大きい」と話していた。

今野朝陽(立教新座/3年)

CB起用も、プレーで示し続けた主将

怪我と付き合いながら歩んだ今年はS1リーグでも半分しか稼働できないという状況もあり、スタートはCB、勝負所でSBとしての起用に。その中でもキャプテンとしてプレーで示し続けた。

MF

土谷飛雅(昌平/2年)

美麗なキックで攻撃を牽引

右足から繰り出されるキックはどれも一級品だ。今大会でも状況に応じた多彩なキックでチームの攻撃を引き出し、セットプレーでも上質なボールを供給し続けた。課題の「得点への意識」に取り組み、プレミアリーグ参入戦、選手権本大会では「自分も得点に絡めていけたら」と話す。

長準喜(昌平/2年)

抜群の技術を持つ中盤のキング

身長は168cmと決して大きくはないが、「身長が小さいからできないっていうのは考えてないです」。今大会は準決勝までは左SHとしてプレーし、聖望学園戦、埼玉栄戦で2ゴールの活躍。決勝はボランチとして出場した中で抜群のテクニックでボールをキープして攻撃に繋げ、「意外にヘディングが強い」(監督)という空中戦でも強さを発揮し、中盤のキングとして君臨した。

荒井悠汰(昌平/3年)

悲願の日本一へ「結果を残してプロへ」

FC東京内定の10番は準決勝の埼玉栄戦で「練習から結構直接狙うっていうのは意識していたのでそこは練習通りうまくいった」と話す直接CK弾を含む3ゴールに絡む活躍。決勝は準決勝の故障もあった中で推進力抜群の突破やクロスバー直撃のシュートを放つなど会場を沸かせた。自身2度目の選手権へ、「日本一を取るのが目標。しっかりと結果を残してプロへいきたい」。

篠田翼(昌平/3年)

全国で夏冬連続得点王を狙う

今夏は総体で得点王を獲得。今大会でも抜群の推進力を見せていたが、ゴールという意味では2点にとどまった。「今年は自分のゴールで」と話していた篠田は満足してはいないだろう。「インターハイでは3人が同率だったのが自分の中では悔しくて。予選でも点が取れていないので、選手権では取りたいです」。全国の舞台での夏冬連続、そして今度は単独での得点王を目指す。

高橋流(成徳深谷/3年)

堅守・成徳深谷のバランサー

中盤底でバランスを取りつつ、攻守で気の利いたプレーを披露。守備面の貢献はもちろん、準決勝の浦和学院戦ではPK奪取に繋がる縦パスを入れるなど、攻撃でも起点になる動きを見せた。

樋口有斗(埼玉栄/3年)

「滝井イズム」の伝承者

埼玉栄中出身で、中学3年間、高校1年間と滝井監督の薫陶を受けた「滝井イズム」の伝承者。中学時代は県トレに選ばれていたが、いつもスタメンで出るのはFC LAVIDAの選手やJクラブの選手といったところで悔しい想いも。「高校に入って自分が成長した姿を見せて、そこで勝ったら評価も変わると思う。中学でずっと負けていた相手なので、高校では絶対に勝ちたいなという想いが強い」と話していた準決勝ではLAVIDA勢も多く出場した昌平と対戦。結果は敗れたが、左サイドからカットインで何度も相手DFを割っていくなど、3年間の成長を見せた。

大谷湊斗(昌平/1年)

指揮官絶賛のシンデレラボーイ

今大会は決勝の成徳深谷戦で初先発。スコアレスで迎えた後半17分、クロスのこぼれ球を拾うと、1年生とは思えぬ落ち着きで切り返し、左足を一閃。チームを2年連続の選手権に導くゴールを決め、一躍名を挙げた。ボールを失わない確固たる技術は誰もが認めるところで、藤島監督も「トップクラス」と称賛。FC東京内定の荒井は「ほかにはないものを持っている」と話す。

FW

鄭志錫(昌平/1年)

激戦区、昌平の1トップを掴んだ1年生FW

昌平の1トップは今年最激戦区。今予選で射止めたのは鄭だった。準々決勝の立教新座戦では2ゴールをマーク。「もう自分が絶対に点を取って活躍する、1週間最高の準備をして活躍するというのは思っていたので、最後は魂で押し込めて良かった」。ゴール後は喜びを爆発させるように咆哮し、特大のガッツポーズを見せた。また、指揮官が「気持ちがいい」と話す人間性も◎。

安倍颯汰(埼玉栄/3年)

埼スタを沸かせた栄の10番

2年次から10番を背負う埼玉栄のエースが、会場を沸かせたのは準決勝の昌平戦だ。1点ビハインドの前半15分、左サイドでボールを持つと、一気にスピードアップして対面の世代別代表SB、J内定CBを交わしてえぐり、沖中の同点ゴールを演出。結果は敗れたが、個人としては「やれたと思います」というように春日部葛飾中出身のFWは大きなインパクトを残した。卒業後は今年関東3部に昇格した共栄大に進学予定。「もう1年から出たいなと思っています」と意欲。

上田海輝人(浦和学院/3年)

「高さは絶対に負けない」

「高さは絶対に負けない」。尾間木中の頃から身体能力の高さは見せていたが、そこに「自分がチームを勝たせる」という気持ちが加わったことで一気に開花。今大会では頭ひとつどころか、胸ひとつ飛び出すような、圧倒的な高さを見せて空中を制圧した。準々決勝の武蔵越生戦では序盤から空中戦で上回ると、後半4分、右CKからニアサイドでヘディングを合わせ、チームを19年ぶりのベスト4進出に導いた。成徳深谷に敗れ、ファイナル進出とはならなかったが、高校決勝の前に行われた中学新人戦では母校・尾間木中の応援に駆け付け、後輩たちの優勝を見届けた。

石黒登(取材・文)