正智深谷DF佐藤飛友、憧れ続けた埼スタで全国決定弾!8年前は現地で生観戦「このユニフォームで出たい」夢叶える

いつかあそこに立つ。そう憧れ続けてきた最高のピッチで輝きを放った。正智深谷CB佐藤飛友(3年)が生んだ高校2点目となったゴールがチームを8年ぶりの全国に導く決勝弾となった。

前半18分、DF鹿倉颯太(3年)の左CKに対し、「自分はニアでヘディングで逸らすのが得意なので、ニアに逸らすっていう気持ちはあったんですけど、もう(自分を)越えた時は浦和学院を分析している時にこぼれ球の寄せが遅いので、そこに越えたら自分は入ってボールを待とうかなと思っていた」。ポジションを取り直すと、こぼれ球に右足を強振してネットに突き刺した。

「自分、点取る選手じゃないので」というように、セットプレーなどでも得点をバンバン決めるタイプではない。それでも今季はS1リーグ後期の市立浦和戦で「(高校)3年間で初めて」のゴール。そして高校生活2点目となった得点がこの大舞台で勝利を手繰り寄せる1発となった。

「この舞台で点を決めたいっていう気持ちはあったので」。決勝の舞台となった埼玉スタジアムには思い入れがある。「小学校の時に日本代表の試合をここに親と見に来て。その時に親と「ここに出たいね」って話してて。今日は親も来ていて、ここに立っているだけじゃなくて、勝っている姿を見せたかったので、それが得点という形になって本当に良かったです」。憧れ続けた舞台で値千金のゴール。得点後はすぐさまスタンドにかけ出し、仲間たちと喜びを分かち合った。

決勝の相手だった浦和学院は今大会、堅守で鳴らしてきたチームだが、守備でいったら正智深谷も自信がある。後半は押し込まれる時間が増えたが、「もう準決勝をゼロで抑えた時点で、なんかこの大会点を取られる気がしないなと思ったので。みんな気持ちも入っていたので、1点取ったら守り切れるなと思った」。最後までしっかりと抑えきり、8年ぶりの選手権出場を決めた。

憧れを持って正智深谷に飛び込んだ。当時小5だった8年前は、全国ベスト8入りしたチームを現地で生観戦。「このユニフォームを着て、この大会に出たいなと思って入った。自分はコルージャなんですけど、コルージャから正智に行っている人が活躍しているのも見ていたので、やっぱり自分が出ている以上活躍したいなと思っていたので、それが結果になって良かったです」。

1年次はトップチームに絡むことはできなかったが、2年生から徐々にメンバーに入るように。前回大会の準々決勝・聖望学園戦では途中出場でピッチに立ったが、延長後半ATに決勝点を許し敗戦。「負けた時にこのままじゃダメだなって本気で思って。新チームが始まった時に自分はキャプテンじゃないですけど、やっぱり自分がキャプテンと一緒ぐらいな気持ちでチームを引っ張っていこうと思った」。今季はMF大和田悠(3年)主将とともにチームを牽引する存在だ。

今大会は当初、なかなかコンディションが上がらず。3回戦の市立浦和戦ではパスミスやイエローカードなど「すっごい迷惑をかけた」。それでも準々決勝の浦和東戦では前半立ち上がりに左CKからニアで触り、先制点となった相手のオウンゴールを誘発。準決勝の聖望学園戦では前半最後の相手の決定機に頭を出し、オフサイドとなったものの、その後の第二撃にも足を出して食らいつくビッグプレー。そして決勝では8年ぶりの全国大会を決めるゴールと攻守で活躍した。

それでも「あんまり満足はしてないです。全国では自分がもっと毎試合毎試合活躍して、日本一になりたい」というCBは「自分の持ち味のヘディングだったり、ロングフィードだったり、球際も見せたいですし、チーム全体として失点しないで、みんなで攻撃したり、みんなで守るっていうところを見せたい」と意気込み。堅守・正智深谷の守備の要として全国の舞台でさらに輝く。

石黒登(取材・文)