兄はフットサル日本代表の若き10番 昌平MF金澤道が兄譲りのドリブル突破でチームを牽引

指揮官も「彼女次第」と話す、今年のエースが大一番でも輝きを放った。昌平MF金澤道(2年)は初優勝がかかった本庄第一との新人戦決勝戦で先制ゴールを決めたほか、トップ下の位置から仕掛けのドリブルで存在感。中盤で違いを見せてチームの初タイトル獲得に大きく貢献した。

前半17分、FW松井美優(1年)がエリア左を抉ると、マイナスのクロスを中央で収める。相手を背負った状態だったが、ファーストタッチで振り切りチームを乗せる先制点をもたらした。

また、この日もゴール前のスモールエリアをスルスルと侵入していくドリブルで違い。「若干持ちすぎたなっていう時はあったんですけど」と笑ったが、「でも自分はそういう個人技で1人、2人交わすことが特徴だったので、そこは活かせて交わせたので良かったと思います」と話す。

後半は仕掛ける回数は減ったものの、「真ん中でボールを持って、流れを作ってほしいと言われた。そこで自分がボールを長く持って、周りが追いついてきて、相手陣地でプレーすることを意識したので、そこでボールを握れたのは良かったかなと思います」。森田光哉監督も「苦しい時にボールをグッと前に持って行ってくれるし、収めてくれる」と金澤の貢献度の高さを語った。

相手を圧倒するドリブルは尊敬していると話す兄を参考にし、磨いてきたものだ。兄はFリーガーの金澤空。今季から王者・名古屋に移籍し、日本代表でも10番を背負う若きエースだ。

その兄と幼い頃から「1対1をいっぱいやってきた」という金澤は「ドリブルなんかも影響されているのかなっていうのはあります」「お兄ちゃんがドリブルが得意な選手なので、いっぱい真似して、技とかもいっぱい教えてもらった」。兄と同じ左サイドを務めた際、右足アウトにかけてさらしながら相手が食いついてきたところを交わす持ち方は実際に兄を参考にしたものだ。

昨年まではサイドや攻撃的なポジションを務めることが多かった中で新チームからはプレーの幅を広げるべく、トップ下を主戦場に。「ドリブル以外の部分のパスとか、周りの使い方とか、そういうところがうまくなれば自分のドリブルももっと生きるなと思った。自分的にもできることを増やしていきたいなと思っていて、最近はちょっとずつできるようになってきた」と話す。

「全国に行きたいっていうのがやっぱり一番の目標なので、全国出場を目指して、インターハイとか選手権はもっともっと頑張っていきたいなと思います」。進化するドリブラーが周りを生かしながら、さらに自分を生かせるように成長し、初の全国大会を目指すチームを力強く牽引する。

石黒登(取材・文)