西武台FW鈴木洸晴「得点のイメージしかなかった」2列目で輝く第3のFWが昌平戦でハットトリック達成

「今日はもう得点のイメージしかなかったです」と話すアタッカーが大一番で輝いた。西武台FW鈴木洸晴(2年)は天王山となった準決勝の昌平戦でハットトリックを決めて勝利に導いた。

この一戦で鈴木がこだわったのが得点の部分。「今日はもう得点のイメージしかなかったです。ドリブルでひとり抜くとかというよりはもう得点、ゴールだけっていう感じでした」と話す。

すると前半23分、右サイドのMF泉谷俊(2年)がカットインから粘ってラストパス。これにトラップで入れ替わったFW鈴木洸晴(2年)がしっかりと右足を振り切って決め先制した。

これで勢いに乗るかと思われたが、前半中盤以降は相手の逆襲に遭い2失点。「1点自分が決めて、なんかもう行けるなみたいな、ちょっと思っちゃったんですけど、その後に2点押し込まれて。それでも前半が終わって、「もう絶対に自分が決めてやろう」という気持ちで後半に入った」。

後半は「もうずっとゴール前にいました」とセットプレー時もゴールに一番近い位置に。そして26分だ。MF石井汰一(2年)のフリーキックがクロスバーを強襲したこぼれをFW遠藤秀悟(2年)が中に入れ直し。難しい体勢ではあったが、右足ボレーで流し込み、同点に追いついた。

勝負の行方は延長戦へ。「(昌平は)身体のでかさもあるし、ちょっと身体能力とかも全然違うし、スピードとかも違うし、あとは球際とかドリブルも強かった」。前半から相手のドリブルに対応していたこともあり、延長戦は左足がずっと攣った状態でプレーしたいた中で「自分を鼓舞して、味方を鼓舞してやりました」というFWは延長後半に三度、ゴールネットを揺らしてみせる。

延長後半2分、石井のクロスからCB谷口輝(2年)がヘディングで折り返すと、これを右足ボレーで決めてハットトリック達成。そしてこれが決勝ゴールとなった。準々決勝の聖望学園戦に続き2試合連続の決勝弾に「マジで気持ちよかったです。もう本当に最高っす」と笑顔を見せた。

身体能力が高く、50m6.1秒の俊足を生かした縦突破と緩急を生かした裏抜けは武器。その上で「自分はあまり狙うのが得意じゃないので、もうゴールが見えたらとりあえず振る」ことを意識している。理想としているのは日本代表FW浅野拓磨だ。「速いですし、あまりうまいイメージはないかもしれないですけど、だけど点を取る。ああいう選手になりたいです」。カタールW杯のドイツ代表戦で抜け出しから名手ノイアーの頭上を打ち抜いた決勝点はひとつの理想形だ。

支部予選では遠藤と2トップを組んだが、県大会はFW竹内奏海(2年)が復帰したことでサイドに。それでも「あいつらが頑張ってくれて、2列目から飛び出す形が得意なのでありがたいですね」。2トップはもちろん、今年は2列目から飛び出してくる“第3のFW”が得点量産を狙う。

石黒登(取材・文)